防衛相より新聞の方がひどい経済論





ひどい経済論だ。田中防衛相ではなく、島洋子記者の経済論である。1次産業就業者が約3万5000人で基地従業員の3倍であり、基地従業員の3・5倍であると誇っている。ネットで調べると1次産業就業者は全人口の5・9パーセントというから、1次産業就業者は約8万人である。農業産出額924億円であるから一人当たりの年収は約115.5万円である。
漁業などの従事者がはっきりしないから正確な額ではないが、一次産業の従事者の収入は100万円から200万円くらいであり年収は非常に低い。それに比べて基地従業員の収入は公務員並みである。1次産業就業者が基地従業員より多いからといって自慢できるものではない。

軍用地料は約930億円である。農業産出額924億円である。農業産出額より軍用地料が高いというのが沖縄の現実である。基地対策費は1668億円である。それに基地従業員の給料や米軍の兵士や家族が沖縄で使う金を合わせると4000億円に近いという。観光収入4200億円であり、基地関係の収入は観光収入に匹敵する。
島洋子記者は基地関係の収入は観光収入の半分以下だと書いてあるが、それは事実ではないことがわかる。それだけではない。観光収入の中には県外から仕入れた商品や車、バス、ホテルの装飾品などがある、それらの原価を引いた金額が沖縄に入った金額になる。もし4割が仕入原価であれば沖縄に入った金額は2520億円である。基地関連の収入は日本政府とアメリカ政府から入ってくる。4000億円近くの金が沖縄に入ってくるから、観光よりも基地関連のほうが沖縄経済を潤している。
沖縄は第三次産業が九割を占める。それは観光産業だけではなく、県外から入ってきた基地関連の4000億円が沖縄の市場で使われるからだ。

沖縄の貿易赤字は焼く7000億円。それは県外から入ってくる基地関連4000億円、観光関連2000億円、交付金2000億円の中から出て行っている。

基地跡地の那覇新都心の雇用効果は30倍以上、生産誘発額は16倍といっても那覇新都心の経済は三次産業でありサービス業がほとんどだ。生産産業である一次・二次産業は那覇新都心には皆無だ。県内にコンビニができると県内の個人商店がつぶれ、県内に郊外型大店舗ができると県内の商店街がつぶれた。那覇新都心の経済はそれと同じだ。那覇市はドーナツ現象が起こって中心部の人口が減っている。那覇新都心に移った人が多いからだ。
県全体からみれば那覇新都心の実質的な経済効果はゼロに近い。那覇新都心の経済論はまやかしの経済論だ。それに那覇新都心のように経済発展することができたのは東京都並みの人口密集地である浦添市、那覇市の中に大きな空き地があったからである。普天間飛行場、アワセゴルフ場跡地では那覇新都心のような経済発展は望めない。ワセゴルフ場跡地にイオンの大型店舗をつくる予定だが、沖縄市は客が流出すると戦々恐々だ。

 読谷村、恩納村の軍用地も開放している。読谷村、恩納村の軍用地跡に那覇新都心ができるはずがない。住宅と畑くらいだ。金武、辺野古、名護、国頭の軍用地が開放されても、やんばるは人口が減り続けて過疎化が進んでいる。人口が減り続けているやんばるの軍用地が返還されても、那覇新都心どころか一軒の家さえ建つかどうかだ。広い山地は畑にもできない。収入がほとんどない山になるだけだ。

 基地経済を擁護する気はない。基地を永遠にあればいいとも思っていない。中国、北朝鮮が民主主義国家になればアメリカ軍が沖縄駐留する理由はなくなる。いづれは米軍は沖縄から撤退するだろう。アメリカ軍が撤去しても大丈夫であるように沖縄経済を成長させなくてはならない。そのためにも沖縄経済に占める基地経済を正確に理解しないといけない。県のように基地が返還されたら那覇新都心のようになるという妄想は捨てるべきだ。
米軍基地は徐々に縮小する。4000億円の収入が確実に減っていく。4000億円という基地経済に変わる経済を生み出すのは至難である。県市町村は企業を必死につくりださないといけない。米軍基地が返還されれば那覇新都心のようになんの苦労もしないで基地よりも何十倍も経済がよくなるという馬鹿げた妄想を描いている場合ではないのだ。

沖縄は基地があるから政府は沖縄には甘い。県はあれこれ理由をつけて交付金を多くもらおうとする。「沖縄21世紀ビジョン」は一括交付金を多くするための詭弁であり、「沖縄21世紀ビジョン」に斬新な計画はない。

 莫大な交付金が下りるので、県市町村は交付金の奪い合いに汗を流している。県市町村は政府から甘い金が降りてくるから真剣に沖縄の経済を発展させようとかが得るよりも交付金をできるだけ多くもらうための口実に頭を使う。交付金の金を得てから計画を立てるというのが県市町村の現実だ。

 沖縄のベンチャー企業は国の補助金を利用しながら盛んになりつつある。アジア進出を狙って本土から沖縄にやってくる企業も増えている。ブラジルは沖縄を中継点にして地中国進出をしようとしている。
 沖縄のアジアの扇の要だからアジア進出を狙う企業にとっては最適な場所である。このような企業の発展が基地経済に変わる経済になるだろう。
 シンガポールのようにカジノと観光とエンターティナーを組み合わせたら沖縄の経済は目覚しく発展するだろう。

 沖縄の経済発展に真剣に取り組むべき県であるのに、いい加減な経済論を振りまき、経済発展に真剣には取り組まないで一括交付金を多くすることに頭を使い、一括交付金の分配に真剣になっている。
 残念なことである。
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橋下市長に市教委「白旗」…条例案ほぼ丸のみ

「政治主導による教育行政」を掲げた大阪市の橋下徹市長が2月市議会に提案を目指す教育基本条例案について、市教育委員会は2日、「首長が教育目標を最終決定する」などとした原案を了承した。

 橋下市長が導入を求めている学校選択制も容認、橋下市長の主張をほぼ丸のみし、条例案を巡る両者の対立は決着した。大阪府教委に続き、市教委も条例案を受け入れたことで、今後の焦点は府・市両議会の採否に移る。

 原案は1月末の府市統合本部会議で、橋下市長、松井一郎知事が府教委と大筋合意した。原案では、教育目標を果たさないことが現行法上の教育委員の罷免理由にあたるかどうかの判断権を首長に与えることで、事実上、首長が教育委員を罷免できる形でまとまった。

 橋下市長が代表を務める大阪維新の会が大阪ダブル選前にまとめた案では、首長が教育目標を設定する条項が、教育委員会と首長の職務権限を規定した地方教育行政法に抵触すると文部科学省が指摘していたが、原案では、両者が協議して作成する教育振興基本計画で目標を定めると修正することで、法違反を回避した。

 この日の市教育委員協議では、こうした修正点が評価され、原案について「統合本部の議論を尊重すべきだ」との意見で一致した。市条例案では、市立校の校長公募や、通学区域を越えて小中学校に通える「学校選択制」導入も盛り込む。

(2012年2月3日07時19分 読売新聞



とうとう教育委員をねじ伏せた。教育委員は必死に反論したが、橋下市長の論理に屈した。橋下市長はごり押しをしているように見えるが、相手の主張はちゃんと聞き、相手の主張を理解した上で受け入れるところを受け入れ、譲れないところは反論し、自分の主張を通す。

橋下氏長がこだわっているのは首長が教育目標に関わること、市立校の校長公募、通学区域を越えて小中学校に通える「学校選択制」、不適な教師を辞めさせる、高校の学区制廃止である。
これは教育改革の始まりだ。大阪の教育が新しいモデルをつくるだろう。ただ、沖縄の教育改革はまだまだ先のことだろうな。。
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