田原総一朗氏「維新八策」について語る

田原総一朗です。

大阪市長の橋下徹さんが
矢継ぎ早に新たな市政改革を
打ち出している。

橋下さんは、市長就任前から
すでに24区長の公募、
市営地下鉄の運賃引き下げと民営化、
水道事業の統合などの指示を出した。
さらに、人件費や補助金支出の
見直しにも手をつける等、
「大阪から日本を変える」
を実行しようと
しているように見える。


そんな橋下さんが、2月13日、
「維新八策」を発表した。
坂本龍馬がまとめた新国家構想
「船中八策」にちなんで命名した、
次期衆院選に向けた
大阪維新の会の政策集である。

維新八策は、橋下さんが
大阪都構想で打ち出した
政策と重なる部分が多い。

まず統治機構としての
道州制の導入である。
道州制の良い点は
各地域が競い合うことだ。
そして地方交付税は
廃止するという。

また公務員制度改革も
打ち出している。
公務員は「職業」ではなく
「身分」になっていると
橋下さんは批判した。
リストラも降職も減棒もない、
公務員という身分を改め、
一般の「職業」にすると
主張しているのである。

大阪都構想には
教育制度改革も入っている。
現在の教育委員会制度を
改革するため、
複数の仕組みのなかから
各自治体が制度を
選択できるようにした。
つまり、首長に権限を持たせようと
しているのである。

そして、もうひとつ
首相公選制を出している。
この実現のためには
憲法改正が必要である。
だから、橋下さんは
憲法改正に関連する内容も
維新八策に盛り込んだ。

しかし憲法改正については、
第9条や国民の権利と義務など
いろいろな問題がある。
首相公選制のためだけに
憲法を改正するわけには
いかないのではないか。


以前、書いたことがあるが、
僕は橋下さんが主張する、
「大阪都構想」が、
いまひとつわからない。
彼は、非常にセンスがいいし、
ファイトもある。
実行力もある。
僕は彼に期待しているのだが、
それでもわからない。

たとえば、大阪の最大の課題は
経済的な地盤沈下である。
経済が落ち込んでいるので、
大阪のモチベーションは極めて低い。
だから、橋下さんの大阪都構想は、
いかにして経済の地盤沈下を止め、
大阪経済の再興を果たすかが
第一の課題になるのではないだろうか。


この維新八策を見て思ったのが、
橋下さんが本当に
日本を変えられるのか、
変えたらよくなるのか、
やはり曖昧だということである。

日本人の多くは
長引く景気の低迷、
東日本大震災と原発事故災害に
苦しんでいる。
日本人が求めているのは、
どうすれば日本がよくなるのかである。
しかし、維新八策は
それに応えていないのではないか。


維新八策には、実現が難しいと
思われる問題が多い。
一方で、TPP交渉参加や
消費税増税については
賛成としている。
経済にからむ問題は
現実路線をとってはいる。

しかし、この現実路線のために
橋下ブームは下火になるのでは
と僕は懸念する。
先行きが不安で
イライラしている国民に
展望を示せるかどうか、
そこが勝負どころである。
もし展望を示せなければ、
「橋下さんをリーダーにしたい」
という思いは、冷めるのではないか。

長年の自民党政治に
多くの日本人が飽き飽きしていた。
それが2009年の政権交代を
生んだのである。
だが、選ばれた民主党は
国民の期待をことごとく裏切った。
しかも自民党よりも
政治が下手なことがわかった。
しかしながら、いまさら
自民党に戻る気もない。

橋下ブームは、そうした「政治」に
対する不信感と閉塞感から
出てきたのである。


橋下さんは、さまざまな
意見や批判が出ることを承知で
維新八策を明らかにしたのだろう。
これは結論ではなく、
スタートなのだ。

いま、橋下さんを
批判することは容易い。
だが、批判のための批判は
僕はしたくない。
僕は橋本さんに期待している。
だから、ただ批判するのではなく、
曖昧なところを
しっかりと聞き出していきたい。





橋下市長が発表した維新八作は理念と現実問題が整理されていない状態のものであり、すぐに実現するとか実現できないとかというものではない。
田原氏が「維新八策には、実現が難しいと思われる問題が多い。一方で、TPP交渉参加や消費税増税については賛成としている。経済にからむ問題は現実路線をとってはいる」と理解しているのは少し違うのではないだろうか。

理念、戦略、戦術の整理はこれからだ。理念、戦略をしっかりと言っておかないと、既成政党が安易な連携を仕掛けてくるはずだ。安易な連携はしないということと、しかし、維新の会は現実路線をしっかり歩むという二つの思いを表現したのが維新八作だと思う。

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佐藤優批判・構造的差別論はおかしい





佐藤優氏は、「辺野古移設を容認することは、沖縄に対する構造的差別を維持拡大する」と考えている。母親が沖縄出身である佐藤氏は沖縄人という自己意識を持っているという。佐藤優氏にとって「普天間固定化とは、母の故郷に対する差別を固定化する」ことであり、「それは絶対に認められない」と述べている。
「普天間問題は、沖縄に対する構造的差別を是認するか、脱構築するかの試金石で、沖縄の名誉と尊厳のすべてがかかっている。既に沖縄は、差別について堂々と語れるほど強くなっている。そのために県外移設を、われわれ県外に在住する沖縄人を含め、すべての沖縄人が一丸となって主張することだ」と佐藤氏は述べている。

沖縄が差別されている理由というのは、沖縄は日本の国土の1割以下の面積しかないのに在日米軍基地の7割以上が沖縄に集中していることにある。沖縄だけが一方的に米軍の被害者になるのは不条理であり、米軍の負担を日本全体で平等に受けるべきだと主張しているのが沖縄差別を訴えている人たちである。
この差別論には沖縄民族という意識が根底にある。日本で差別されている民族は沖縄民族とアイヌ民族であるという考えがある。沖縄に米軍が集中しているのは日本政府の沖縄人への差別が原因であると主張し、米軍の負担は日本が平均的に負うべきだと訴えている。

沖縄人も日本人もアメリカ人も他の人も同じ人間であるという考えを基本にしている私には最近の差別論がピンとこない。この差別論は日本に存在する軍隊のアメリカ軍だけを問題にしている。日本には自衛隊がある。自衛隊もれっきとした軍隊だ。
米軍だけを意識しすぎて、自衛隊と米軍を別々な存在であるという思い込みがあるために差別論が出てくるのである。
日本には自衛隊とアメリカ軍が存在している。日本を守るという目的はふたつの軍隊に共通している。自衛隊は専守防衛の軍隊であり、外国に戦争を仕掛けることはできないがアメリカ軍は外国に戦争を仕掛けることができるという違いはあるが、日本もアメリカも民主主義国家であり、社会主義国家である中国や北朝鮮を警戒することでは同じ立場の軍隊である。

沖縄を含めた日本全土で、自衛隊の機能と米軍の機能を考慮した上で基地を配置するのが軍事的に合理的である。自衛隊の戦闘力が高まり、本土に自衛隊の基地が増えるにしたがって本土の米軍基地は不必要になる。不必要な米軍基地は閉鎖したり、自衛隊が使用するようになって米軍の基地は激減していった。自衛隊の強化と拡大が本土のアメリカ軍の減少の原因である。沖縄も昔に比べたら随分と米軍基地は減っている。

日本における軍隊の配置は自衛隊とアメリカ軍をあわせて考えるべきである。自衛隊について調べてみると、自衛隊の兵員数は、陸上16,4万人、海が4.6万人、空が4.7万人で、総勢26万人となっている。アメリカ軍は本土所在が22078人で沖縄所在が22772万人である。アメリカ軍に比べて圧倒的に自衛隊のほうが多い。
自衛隊の基地の数は、海上自衛隊の陸上施設32か所、陸上自衛隊駐屯地168か所、航空自衛隊の基地73か所である。航空基地は那覇以外に15か所ある。

米軍も自衛隊も同じ軍隊であり、それぞれの機能に合わせて日本全国に配置していると考えれば、沖縄に特別軍隊が集中しているとは言えない。米軍だけを特別視するのは軍隊のことを知らなさすぎる。

 沖縄に米銀基地が7割以上集中しているが、米軍の配置人数は本土所在が22078人で沖縄所在が22772万人であり、ほとんど同じ人数である。兵士の数をみれば沖縄に米軍が特別集中しているとは言えない。本土の場合は自衛隊基地が多くあるので訓練や演習には自衛隊基地を利用している。本土に米軍基地が少ないのは、本土には自衛隊基地が多いからである。

差別を問題にするならまずは日本の法律を問題にするべきだ。日本の法律では沖縄人やアイヌ人を他の日本人と区別してはいない。沖縄で仕事や給料や生活で沖縄人は本土人に差別されていない。藤氏の構造的差別論は間違っている。

佐藤氏は「普天間問題は、沖縄に対する構造的差別を是認するか、脱構築するかの試金石で、沖縄の名誉と尊厳のすべてがかかっている」と述べているが、自衛隊が26万人いて、アメリカ兵はたった4万人しかいないのに日本のアメリカ軍を誇大化し、日本全国からみても沖縄全体からみても普天間飛行場が辺野古に移設するだけで大きな変化はないのに「沖縄の名誉と尊厳のすべてがかかっている」いるなどと大げさすぎて笑えてくる。

「構造的差別」というのは自衛隊の存在を無視してアメリカ軍だけを目の敵にしたために生まれた勘違いであり、普天間問題を沖縄人、アイヌ人、グアムのチェロム族の差別問題に発展させるのはおかしい。差別問題は政治・社会問題であって軍事問題ではない。アメリカ軍が沖縄に集中しているくらいで差別だなんて喚くのは馬鹿らしい。
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浜よ浜荒らされ荒れて叫ぶかな・1152句~1153句


ヒジャイのアート俳句



1152句



1153句







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85・昼下がり誰も通らぬはぐれ道

84・冷える部屋ハムパンを食べキー叩く

83・果てしなく旅をする我が魂よ

82・春の陽に若葉輝くシークワァーサー

81・張り裂ける赤き情熱宙に浮き





80・潮風と戯れ揺れる浜の花

79・あてもなくゆらりゆらりのわが身かな

78・朝の庭どこもかしこも蝉しぐれ

77・主去り残り佇む虚ろかな

76・嵐来て砂に襲われ踏ん張るや




75・雨粒が裏の通りに跳ね返り

74・雨あがり春をまぶしくゆうなかな

73・空き地増え寂れていくか町の裏

72・愛と苦を絡め絡めて闇の春

71・ああ女闇で微笑む狂おしく



70・ああ怒り泡にまぎれて流される

69・くすみ板サッシュにボンベ灰瓦

68・崩れ行く寂しき時代じっと眺め

67・この胸のねじれを開ききみは笑む

66・ケロケロと闇に聞こえるかえるかな



65・木の葉らの下にせせらぎ鳥の声

64・孤高を羽ばたく鷹よ高く高く

63・慶良間島スモッグに翳むうつな日々

62・風はなく心澄みゆく雨上がり

61・頑なな孤独を突き破る恋よ



60・枯れ葉散る古の道人はなく

59・枯れし木にぶどう目覚めて絡まるや

58・絡みつく生活今日の虚しさよ

57・岩掴み毅然と生きるあざみかな

56・岩に咲く白ユリの群れ朝日さす



55・生きたいと叫んでいるのか朽ちた木は

54・戦世の傷跡残す畑道

53・ひっそりと闇の刻ただ黙々と

52・密かなる怒りしいっと闇の中

51・昼下がりまばゆき石の坂上る


50・潮風を浴びて古の道たどる

49・春の朝ぷかりぷかりと何処へゆく

48・春の日に小さき命微笑んで

47・這い出ては浮かれ浮かれの浮世かな

46・けだかくも寂しく空のはぐれ鷹



45・電柱とバナナの向こうの青い空

44・無遠慮におれは世間に挑むのさ

43・這いずって夜の魂どこへ行く

42・がじゅまるが生え水道の出た岩や

41・冬なのに咲いて浮かれるチキナかな


40・どこへ行く俺の魂年の暮れ

39・道標のないわくわくの俺の道

38・電線のひしめく町に朝が来る

37・暴風に踊る踊るよ今朝の椰子

36・暴風の夜外灯が煌々と


35・青空の下で踊れや踊れ夏

34・仰向けに寝そべる木々に雨が降る

33・混ざり合い息しあいながら生きている

32・茜空忙しい雲に闇の松/a>

31・ああ今は出口の見えぬふきだまり


30・キャッキャッと跳ねて笑ったきみはもう

29・街霞むのどかな浜の昼下がり

28・眩しさと暗さに潜む街の日々

27・眩しさにうだる石道海が見え/a>

26・葉落としじっと春待つ茄子かな


25・まばゆさと影が沈黙昼下がり

24・真昼間のまぶしさ受けじっとする

23・虚しさが弾け散って今日の酒

22・向こうは悲しい闇だよ通おりゃんせ

21・なあ雲よ今日はなぜかさびしいよ



20・なにくそと生きる命のたくましさ

19・仲ノ町疲れて帰る午前七時

18・なにを見てなぜ黙るのかチビクロよ

17・なにゆえに闇に叫んで迸る

16・昇る夢落ちる夢みな浮き草よ


15・おまえと野を行き微笑みも遠い日

14・おーい夏が来るぞー夏がなあほい

13・俺もおまえもただ当てもなく漂って

12・俺はまだ枯れていないぞと叫んでいる

11・俺と住み俺を信じぬ孤高猫


10・くそったれなにがなんでも生きぬくぞ

09・朽ちてなお車の轍昔橋

08・細雨に頭垂れてる子バナナよ

07・ホイホイホピーピーヒャラヒャラエヘヘヘヘ

06・ひっそりと俺を待つバー秋の夜


05・はっと起ききみの居ない部屋さみしさよ

04・凍え夜床が揺れて俺一人

03・ゲロ吐いてネオン求めて午前二時

02・崩れゆく記憶と心走馬灯

01・こおろぎの潜む闇からリーンリーン







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