国家の第一は民主主義である。美しさとか品格はまやかしの国家論である。新聞に掲載されている論文を中心に批判する。
品格より民主そして自由
首相・知事会談・・・佐藤沖国大教授批判
仲井真知事は、「日本の中のどこかの地域に探してもらった方が早いので『県外』を目標にしている」と野田首相に話している。しかし、仲井真知事は野田首相に「県外移設」を要求しているのではない。仲井真知事は「私はこの通り、野田首相に県外移設を要求していますよ」と県民にアピールしているのだ。
仲井真知事は辺野古移設の推進派だった。しかし、去年の県知事選で辺野古移設を公約にしたら落選する恐れがあったので、県知事選の幹事長だった翁長那覇市長の忠告で仲井真知事は辺野古移設をひっこめて「県外移設」を公約にしたのだ。「県外移設」は当選するための公約であり仲井真知事の本心ではなかった。2007年には滑走路を沖の方に5メートル以上移動させないと埋め立てを許可しないと政府に要求したのは仲井真知事だった。仲井真知事は海の埋め立てを広げた人間でもある。
仲井真知事の本音は「辺野古移設」である。「県外移設」を口にしながら内心は辺野古移設を実現するために色々考えているのだろう。
野田首相と仲井真知事は前日の夜に1時間食事をしている。前日の食事談話のほうが本格的な対談であり、昨日は県民向けの儀式的な対談であっただろう。
佐藤学沖縄国際大学教授(政治学)は、「さまざまな案を検証」した結果辺野古移設に戻ったことを「さまざまな案」には内実がなかったといい、政府が県外移設を真剣に模索しなかったから実現しなかったと暗に述べている。ほとんどの沖縄の知識人は佐藤氏のように政府が真剣に県外移設に取り組まなかったから「県外移設」を実現できなかったと主張している。
しかし、沖縄の知識人や政治家は政府を一方的に避難するだけで、自分たちで「県外移設」の可能な場所を指摘したことは一度もない。鳩山元首相の時代に「県外移設」の候補地が色々上がったが、普天間飛行場の移設場所としての条件が満たされていなかったり、住民の猛反発などで移設場所を見つけることはできなかった。
普天間飛行場の「県外移設」が非常に困難であることを知ったのが鳩山元首相の時だった。もし、沖縄の知識人や政治家が真剣に「県外移設」を求めるのなら、鳩山元首相の時に候補地に上がった場所以外を探すべきだ。しかし、一人も探そうとしない。政府を非難するだけである。非難するのは口があればだれでも簡単にできる。真剣に「県外移設」をしたいのなら移設場所を探すはずである。
佐藤氏は日本政府が「米国に対して、一度も『県外・国外』を実現すべく交渉しなかった」ことを批判しているが、辺野古移設は日米両政府が話し合って決めたことであるのにどうして日本政府が辺野古移設案をゼロに戻して「県外・国外」を米国と交渉しなくてはならないのか。そもそもは民主党政権の前の自民党政府の時に県も名護市も辺野古移設に賛成していていたのだ。あとは工事を始めるだけであったのに、鳩山元首相が「県外移設」を主張して、米国と約束していた辺野古移設を反古にした。
国と国の約束を鳩山元首相は破ったのだ。佐藤氏が政治学者であるなら、国のトップの人間が国際条約を破ることがいかに愚かであることを知っているはずだ。こんなことをやれば日本の国際的な信用を失墜する。鳩山元首相はやってはいけないことをやったのだ。
まあ、佐藤氏が学者である前にウチナーンチュであり政治屋であるなら鳩山元首相の「県外移設」を歓迎しただろう。
佐藤氏は、「在沖海兵隊抑止論への具体的批判が数多く出た今、なおも、事務方が用意した『抑止力』論を強調する点に、不誠実さが如実に表れている」と野田首相を批判している。首相は細かいところまですべてを頭の中にいれているのではない。在沖海兵隊の抑止論は高度で複雑な軍事論であり首相が専門的な見識まで持つのは無理だ。国家は首相、大臣、副大臣、実務員などそれぞれの仕事を分担して成り立っている。細かい問題は事務方が用意するのは当然だ。
沖縄の海兵隊は韓国からフィリピン、カンボジア、タイなど中国の周辺国の軍隊と演習や訓練をやって周辺国の軍事力を高めて、周辺国との連携で中国への抑止しようという米軍の作戦を展開している。グアムには周辺国を招いて規模の大きい軍事演習を行っている。日本には自衛隊の設備があるのになぜグアムでやるのかと言えば日本でやれば社会問題化するからだという。
アジアでの海兵隊のローテーションは沖縄を中心にやって、グアムでは大掛かりの演習をするというのがアメリカ軍の計画である。すでにグアムでは自衛隊やオーストラリアなどの軍隊が海兵隊の指導で演習を実行している。
佐藤氏は「米側の大きな状況の変化に目をつぶり続け」と野田首相を非難しているが、米側はアジアの状況を分析し、中国への抑止として最良と思われる作戦を立てたのであり、「目をつぶり」というのならアメリカの作戦の欠点を示して、「目をつぶったことは日本に不利益をもたらした」ことを証明するべきだ。アメリカの作戦変更に口出しをしなかったからといって非難するのはおかしい。
佐藤氏「ひたすら辺野古を差出すれば」と述べているが、鳩山元首相は真剣に「県外移設」を目指した。しかし、移設場所を探すことができなかった。「県外移設」の実現は不可能であるという厳しい現実を鳩山元首相の時に思い知らされたのであり、以後の菅首相や野田首相はそのことを痛感し、辺野古移設しかないと考えるようになった。
沖縄の知識人や政治家は鳩山元首相が辺野古移設に戻ったことを「約束を破った」と非難するだけで、鳩山元首相の努力を無碍にし、「県外移設」の厳しさを理解しなかった。
辺野古移設しかないと考えている政府は佐藤氏のいう通り強引に辺野古移設を進めていくだろう。
佐藤氏は、「日本政府は、自ら変わる意思を放棄した」と民主党を批判しているが、それば逆だ。「日本政府は、変わることができなかった」だ。国内問題は民主党自身に問題があるが、辺野古に関係するのはアメリカ、中国、北朝鮮、フィリピン、台湾、ベトナムなどアジアの国々の政治・軍事が複雑に絡んだ問題であり、自民党から民主党になったところで簡単に変われるものではない。変われると思う方が浅はかな考えである。
中国と北朝鮮が社会主義である限り、アジアの国々は中国や北朝鮮の圧力を跳ね返す軍事力を持つ必要がある。アメリカ軍の存在は中国の抑止に大きい影響を与えている。沖縄が日本返還されてアメリカから日本に管理が移ると、中国は尖閣諸島の領海を荒らした。フィリピンもアメリカ軍が徹底すると領海を中国に取られた。
佐藤氏はアジアに背を向けたまま日本政府とアメリカ政府を見て、普天間飛行場の移設を問題にしている。佐藤氏は背中に矢を刺されてからアジアを振り向くタイプだ。それでは遅すぎる。
沖縄の海兵隊は、周辺国と中国が紛争も起こさないために、周辺国と軍事演習をしたり訓練をして軍事力を高めている。
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つつましい三つの幸せ冬の夜・1172句~1173句
ヒジャイのアート俳句
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