Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

大願成就 J1昇格!(42節山形戦)

2018-11-18 22:36:17 | マッチレポート18’
町田が同点に追いついたところまでは知っていた。ただ山形に同点ゴールを決められてからの数分間は放心したような状態になってしまって正直よく覚えていない。だから目の前の試合で試合終了の笛が吹かれても数秒は試合が終わったことにすら気付かなかったくらいだった。それから慌ててスマホで他会場の結果を確認しようと思ったけど、何百人もの大分サポーターが同じことを考えてるわけで当然のことながらスマホはウンともスンともいわない。もどかしい時間が1〜2分は続いただろうか。ピッチから見て、ゴール裏の左側上部からの「(町田の試合が)終わった!」の一声をきっかけにさざ波のようにゴール裏全体に喜びが伝播していった様子は本当に表現するのが難しいくらい素晴らしい瞬間だった。ただ3年前の町田の「ぬか喜び事件(通称:南長野の悲劇)」も確かサポーターの先走りがきっかけだったはずだから一応自分の目で見るまではと思ってたんだけど、もう歓喜の波に飲み込まれてそんな考えは一瞬で吹き飛んだ。例えぬか喜びでも「この最高の歓喜の波に乗っかりたい!」という欲望があっさりと勝ってしまった。昇格出来たからこそ言えることだけど、終了の笛と同時に喜ぶよりも実は貴重な体験をしたんじゃないかと今だから思える。





ここ数試合から予想していた通りの硬い試合となった。そしてお互いミスの多いサッカーの見所としては少ない試合だったと思う。特にラストパスの部分が全然合わなかった。ただもうそこは織り込み済みというか、そんな緊張状態でいつも通りが出せない中でも相手を上回れるかというところがポイントだと割り切れるようになってたし、先制点はまさにそんな形だったと思う。機動力で圧倒出来る右サイドを縦に突破してからのクロスに大外の星が詰める。今季何度も見せてきた必殺パターンとも呼べる形で仕留めた。そこまでの山形の出来を考えてもこれで勝てるだろうと簡単に考えてたけど、そう簡単ではなかった。硬さというかギクシャクというかそんな感じはいつまでも改善しなかったし、もっと思い切りの良さを見せた方が間違いなく山形は恐かったはず。


いつも通りじゃないなと思った最たる例はキックオフから何度も滑っては動き出しに失敗してた藤本が85分になってようやくスパイクを代えようとしてたこと。さすがに遅すぎると思ったし、その前に代えるタイミングいくらでもあったでしょうよと突っ込みたかった。そんなとこも試合の重要性に飲み込まれてたんじゃないかなと思う理由の一つだ。終盤に近付くにつれ山形に決定機を作られ始めてたことを考えると、ドローという結果は妥当だったと思う。確かにあと数分で優勝出来ていたと考えるともったいないことをしたと思うけど、この試合に関してはドローが妥当な結果だったと思う。



同級生の2人。


馬場ダッシュ。Bダッシュ。


硬くなっていつも通りが出せなかろうが、勝ち点で追いつかれようが、自動昇格が我々の手元にあることこそがまさに「積み上げ」の成果だ。かつては守備の固さを売りにしていた時代もあったクラブが今やリーグNo.1の攻撃力を誇り、そして得失点差で自動昇格か手動昇格かという天国と地獄の境目を制することになるとは10年前は本当に夢にも思わなかった。とにかく能動的なサッカーにこだわり、対策をされてもされてもニュアンスは変えながらも骨子となる部分だけは絶対にぶらさずにやり続けた結果がこの日の大きな成果となったわけだ。リーグの順位を決めるのは勝ち点の数で間違いない。それでも他のクラブを圧倒的に凌ぐ(千葉は得失点差がプラスじゃないので参考外)76回もの歓喜をサポーターにもたらしてくれた我らが大分トリニータが優勝だと個人的には思っている。



そして、嬉しくて嬉しくて言葉に出来ない最高の瞬間を残ってる写真で振り返る。もうめちゃくちゃにシャッター切りまくったんだけど、嬉しくて嬉しくて震えてたから被写体の皆様に土下座レベルの写真がほとんどで自分でもガッカリ。その中でもかろうじて生きてた写真です!




本当に岡野こけてた!








さんぺーのエモーショナルな表情も最高だけど、その後ろで顔を手で覆いながら崩れ落ちる前田の姿に涙腺崩壊。




いつもはクールなコテがこんな表情で走り出しちゃうくらいに昇格って嬉しい!






ここも同級生。2人とも最高の表情!


怜さん泣いて、


前田も泣いて、


林もフクも泣いて、


ノリさんも泣いちゃう!昇格ってそれくらいの一大事!


川西は何となく分かるんだけど、高木が冷静だったのが意外だった。フルタイム出場おめでとう!素晴らしい記録だ!








そしてこの人を抜きにはこの昇格は絶対に語れない。我らが片さん。この3年間で残してきた数字だけを見ていたとしても「名将」と言って何の違和感もないわけだけど、片さんにはそれ以上の本当の価値があることを我々サポーターは随所に見てきたように思う。所属した全ての選手が満足なシーズンを送ることなんてまず不可能なわけだけど、前節の川西の素晴らしいゴールに象徴されるように言葉だけじゃない一体感が常にこのチームからは感じ取ることが出来た。そこには「頑張っていれば、監督が必ず見ていてくれる」という選手と監督との間の信頼関係があったはずだし、片野坂さんのチームマネジメントの確かさを物語っている。そして成績や順位の良いクラブを応援出来ることはサポーターにとってこの上ない喜びだけど、自分が応援しているチームが「クリーン」であることがこんなにも誇らしいことなんだということを片野坂さんに教えてもらったと思う。片野坂さんが指揮をするようになってから感じたのはカードをもらう回数が圧倒的に減ったこともそうだけど、ファールを受けた時もあまり相手に対して文句を言わなくなったこともあると思う。大分の選手が汚いプレーでファールを受けたりすると脊髄反射的に「オイコラ、何しとんねん、ボケがっ!!」くらいのことを上品に叫んでしまうこともあるんだけど、ファールを受けた当の本人が何事もなかったようにスッと立ち上がって相手の握手を受け入れてるのを見て、たまらなく恥ずかしくなるなんてことは1度や2度じゃなかった。これは間違いなく片野坂さんから徹底されてたと思うし、見えないところでレフリーを大分寄りに取り込めてたという効果もあったと思うよ。


あんなに真面目そうなのに最後にトラメガで爆笑まで取ってくのとかズルい!


前の記事でも書いたけど、山形はとにかくアウェイサポーターが集まらないという印象だった。しかし昨日はすごかった。日本にある全てのスタグルの中で一番好きな「いも煮」を試合前に堪能して余裕かまして開門15分ほど前にアウェイ側入場口に行って唖然とした。ここは本当に山形なのかというくらいの行列。行列は隣のサブグラウンドの外周にまで届いて最終的には1/4周くらいまでに達してた。例年だと100人いるかいないかくらいだったから、ざっと10倍はいたんじゃないかな。この大分県民による民族大移動が数年に一回のペースで行われているのは、大分県民のルーツを辿ると遊牧民族だったんじゃないかという理由でしか説明がつかない。良い意味でも悪い意味でも大分トリニータが一つのカテゴリーに落ち着かないこともそれで説明がつく。


フクのさんぺーを見つめる「何だこのおっさん」的な視線が最高!




twitterにも書いたけど、去年の4月の第7節でNDスタを訪れた際にディーオくんが「大分さん、J2にお帰り!!」の手書きボードをアウェイゴール裏で見せてくれた。あれからわずか1年半でJ1昇格とか本当に夢のようだ。先週のホーム最終戦の帰りに大分空港のロビーで座ってる時にふと3年前のことを思い出した。入替戦の2ndレグに負けて降格が決まり悲しいというよりも何も考えられないような状態でロビーに座ってた。そんな放心状態の自分越しに昇格を決めた町田の選手とサポーターがキャッキャッと喜びを分かち合っていて、耐え難い状況だったわけだけど立ち上がる元気もなく目を閉じて寝たふりをした。あの屈辱的な思いからわずか3年でJ1昇格。あの時寝たふりをしていた自分に「3年でJ1行けるから今は頑張れ」と声をかけても、「は、J2昇格の間違いだろ?」と返されるんじゃないかと思うし、それが普通のように思う。それくらいに本当に素晴らしいことをやってのけたんだなと改めて思う。2012年のことも、2014年のことも、2017年のこともあるからシーズンが始める前は自動昇格なんて遥か遠い夢のことのように思ってた。昇格出来るんならPOで全然構わないしくらいに思ってた。そんな高い目標を苦しみながらも達成してくれたチームとクラブを本当に誇りに思うし、人生で何度目かの「このクラブをサポートしてきて本当に良かった」という思いにじんわりとひたっている。


この記事は第42節のマッチレポートなので、シーズン総括的な記事はまた改めて書くとして、6年前にJ1昇格を決めた時の記事をもう一度読み返してみた。そこに書いてあった一文が、「昇格は喜びや期待と同時に地獄への第一歩かもしれないという思いはある。」というもの。この6年で自分も成長した。別府を愛する人間として、地獄をも楽しめる術を加齢とともに身につけたと思ってるから恐いものは何もない(ちょっと強がり)!さあ、待ってろJ1!J2最強の攻撃軍団(こう言えることが幸せ)が殴り込むぜ!


大分トリニータに関わる全ての皆様、本当におめでとうございました!最高のシーズンをありがとうございました!来年はパナスタ行きたい!
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