アブソリュート・エゴ・レビュー

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Renaissance Man

2007-10-15 21:43:57 | 音楽
『Renaissance Man』 Jamaaladeen Tacuma   ☆☆☆☆

 せっかくなのでジャマラディーン・タクマをもう少し紹介したいと思う。この『Renaissance Man』はソロ二作目。

 一作目の『Show Stopper』が色んなタイプの曲を幅広く収めたアルバムだったのに対し、この二作目は比較的タクマのフリージャズ志向が強く出た作品である。一曲目『Renaissance Man』と二曲目『Flash Back』を聴いただけでもそれが分かる。流麗でダイナミックなベース弾きまくりというスタンスは前作と同じだが、楽器のアンサンブルがかなりフリーキーで破壊力の強いものになっている。その傾向はその後の楽曲でもほぼ変わらない。前作『Show Stopper』は一般的なフュージョン・ファンもまあまあ聴けると思うが、この『Renaissance Man』はちょっときついんじゃないだろうか。

 しかしジャマラディーン・タクマの奔放に暴れまわるベースを愛する人には、それだけディープな愉しみを提供してくれるアルバムとも言える。とにかく冒頭から連続して四曲はハイテンションのフリーキーな曲が並ぶ。『Dancing In Your Head』はちょっとダンスっぽい曲だが、やはりサックスのソロはフリーキーでイカれている。『There He Stood』は打ち込みのハンド・クラップと変なアナウンスが流れる後ろでベースを引きまくるという変な曲。そして次の『The Battle Of Images』は10分を超えるこのアルバム中最長の曲だが、いきなりストリングスがクラシカルな旋律を奏で、そのうちジャマラディーン・タクマのベースが絡んでくる。じゃあ『Show Stopper』中の『Bird Of Paradise』みたいな癒し系の美曲かというとさにあらず、妙にクラシカルなストリングスとタクマのベースがフリーキーな演奏を繰り広げるというかなりわけわからない変態曲なのである。

 そして最後の『Sparkle』で今度はエレクトリック・ギターが不協和音出しまくりのイっちゃってる演奏を聴かせてくれる。まあこれはやはりジャズなんだろうな。間違ってもいわゆるフュージョンではないのでお間違えなく。

 いやしかし、気持ちいいぐらい商売っ気のないアルバムである。こんなアルバム売れるんだろうか、などと誰も考えてないのがよく分かる。美メロ、癒し、そんなものは一切ありません。好き勝手やってみたから分かる奴だけ聴いてくれ、というゴーマンな態度がビンビンに伝わってくる。


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