崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「民族主義を越える」

2015年05月02日 05時22分21秒 | 旅行
 連休の前日、出席率は半分である。昨日は研究の基礎学習の時間であった。「安重根は殺人者か、英雄か」を問った。ケネーディ暗殺、朴正熙暗殺、伊藤博文暗殺と何が違うのか。「殺す」行為には戦争、テロ、死刑など様々な問題など複雑なものがあること、民族、国家という背景を脱して考えてみる時間であった。それぞれ民族教育を受けてきた留学生たちは安重根英雄説を主張した。民族主義色を脱色させる時間であった。来週は公開授業、録画もする。「民族主義を越える」をテーマに考えてみたい。
 大学キャンパスの中で国籍にかかわらず純粋に日本文化を好み称賛するような以前の授業とは違って留学生たちの民族主義が強く表れた時間であった。1980年代韓国で教鞭をとっている時私が所属している民俗学会では国粋主義者たちが「民族主義すなわち国際主義だ」といい、私と壇上で並んでシンポの際「日本に留学した人は韓国の民俗を研究する資格がない」と侮辱されたことがあった。私は彼自らが自分の学問を根底から否定していると思って返答もしなかったが彼は以降民族主義の本を出してベストセラーとなった。日本の吉田清治のような存在であろう。
写真の洋蘭は古希記念に教え子許点淑から送られたものである。今年も元気で優しい花が咲いてうれしい。