崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

恩師への電話

2011年06月23日 05時36分22秒 | エッセイ
 久しぶりにソウルの恩師へ安否の電話をした。喜寿の先生は耳が若干遠くなったようであるが、よく話ができた。お元気であってよかったが恩師の著作集の出版が遅れていて自分が死ぬ前に見れないのではないかと言っていた。一方的に𠮟られた感じであった。2年前に私も参加して著作出版委員会を立ち上げたのに進展が遅くなっているので先生の催促の話には耳が痛かった。出版社に言わせると古い世代の本は漢字が多く混用されて若い職員には新しいハングルで打ち込むのが難しいという。出版が活気のない時代になって著者自身がきれいに打ち込んだ原稿を持ち込むのが普通になり、手書きの原稿の本の出版計画はもともと無理だったかもしれない。
 先生の出版への強い意欲は「お元気でいらっしゃる」という象徴的なこととして一方では嬉しく感じた。先生は社会や人に厳しく批判する人格の方であり、人をほめることは稀である。しかしたまにほめられるとその言葉は重い。今度はそのような言葉はなかった。先生ご自身がトラも歯が抜けてどうしょうもないといわれたことがあるが、私は先生の健在ぶりに満足した。しかし私の著作集が超スピードで進行することには申し訳ないと思う。ある人から先日、韓国で出版されたエッセイ集を50冊購入すると連絡があった。また去年古希記念論文集の印税(?)が出たと嬉しい連絡をいただいた。感謝である。先生の著作集も早く出るように努力したい。