崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

東大東洋文化研究所の真鍋祐子教授

2011年06月09日 05時18分41秒 | エッセイ
 昨日の本欄に東大東洋文化研究所の真鍋祐子教授が「私は先生のそうした教育信念に救い上げていただいた者だと、ずっと感謝しています」とコメントを書いた。彼女との出会いは古い。おそらく30年ほど前に彼女から韓国語の手紙をもらったことから始まった。後に筑波大学大学院に進学、そして彼女が韓国大邱の拙宅を訪ねてきたことを覚えている。その前後はわからない。彼女が韓国啓明大学の日本語教師になり、拙著『恨の人類学』を日本語訳をし、カメラマンの加藤啓氏の紹介で平河出版社から発行され、私は彼女と太い縁になった。その本を通して加藤氏、有名作家の李恢成氏とも親しくなった。加藤氏と二人でのシベリア旅行、李さんとはサハリン調査などを共にすることもあった。彼女の結婚式にも出席した。彼女は民衆の恨の民衆化運動をテーマにして調査をして『烈士の誕生』などを出して、一躍学問を深めていって東大の東洋文化研究所の教授になった。彼女の夫の金子氏を韓国の大学へ推薦、単身赴任しているのは心に若干残る。
 私こそ「救い上げていただいた者だ」と言いたい。『恨の人類学』の恨を通しての明るい人間関係であり、学問の同行者である。私は常に研究と教育は影響しあうことと思い、最善を尽くしたい。その現場をまだ持ち続けられることは幸せと感じ、感謝している。「入学時の偏差値や大学名で学生を切り捨てる先生だったら、突然押しかけていった無名の大学の学生を受け入れてはもらえなかったろうと思うからです」というコメントにも感謝である。