崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

そろそろこの辺で

2009年05月29日 05時45分06秒 | エッセイ
 ボクシング・チャンピオンの内藤大助が中国の熊朝忠との防衛戦で辛勝した。王座を守ることも難しいが、奇麗に王座を譲ることも難しいと思った。ダーティなゲームに辛勝したことに不満があったサポーターも、彼の反省の言葉「しょっぱい試合をしてすみません。」ということばを聞いて彼への信頼は回復したようである。私も彼が精神的に勝ったようで安心した。私がもっと気になる言葉は彼の母のことばであった。「見るだけ辛い」というのはわかるが、「そろそろこの辺で引退しても」と所感を述べたことである。ぎりぎりまで王座を保持していたらこの辺で勇気を出して止めることは難しい。
 先日私が乗った飛行機が異常に揺れた時、自分の人生も「この辺で終わる」と軽く考えた。そう思った道端怖さはなくなり逆に、勇気が出る感がした。これからは死がもっと身近に感ずることが多くなると思うが、その度、「この辺で」という心で死を受けいれる準備をすべきであろうと思う。