崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「もみじマーク」

2009年05月15日 05時58分18秒 | エッセイ
新緑の時期に紅葉の話はやや性急なことと思われるかもしれないが、高齢運転者の「もみじマーク」を見て思うことがある。日本でも紅葉観光は盛んに行われている。広島の宮島の紅葉の景色は日本三景ともいわれている。紅葉マークは橙色と黄色に塗り分けられ、初心者マーク(若葉マーク)に比して紅葉のように見えることから、一般的には「もみじマーク」と呼ばれる。それについて高齢者自身が抵抗感を持っている人もいるようである。人生の黄昏の寂しさを示すというネガティブなイメージからであろう。
 紅葉は植物が枯れて落ち葉になる前の色である。昔私は紅葉を美しく思うのは人間の勝手な感じ方だと思うという文を書いたことがある。つまり植物や自然現象を人間が都合に合わせて解釈したものと否定的に思った。その私の否定的な見方を広島大学時代の同僚であり親友でもある芸術専門の金田晋氏の指摘で目から鱗の感があり悟った。つまり人生の黄昏とは言っても高齢者は経験を踏まえて花のように美しい色を発散することができるというのだ。美しく、意味の深いシンボルマークと考えたらいかがであろうか。