崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

変わらないもの志向

2009年05月20日 04時54分12秒 | エッセイ
朝食の時にはまるで離散家族の再会のような雰囲気であった。景福高校34期卒業50周年記念会に参加するためにアメリカから来た夫婦たちとホテルの食堂で会った。同窓生ということで無条件「知っていること」と、学生時代の呼び捨ての言葉やニックネームで握手をした。その間に交際した数人を除いては50年ぶりに会う同窓生であった。その中でアメリカで医師をしている人と握手をした。彼が李昌根君である。彼の父は鐘路で産婦人科病院の院長をしており、彼は裕福な学生であった。彼とは親しくて、夏休みに彼を私の故郷の家に連れて行ったこともある。彼は高校卒業してすぐアメリカ留学をしてアメリカで医師になった。その後初めての再会であった。離散家族の再会のように嬉しく、また今まで連絡を互いにしなかったことを後悔した。昔の話しは続いた。彼の奥さんは二人の対話に耳を傾けて夫の過去を聞いている。
 本校訪問と晩餐会に200人位が参加するという。杖を持っている人も数人いたが皆が50年前に戻りたくて集まった。数人を除いては定年して時間もある。私はまだ現役であることを羨ましがられた。50年の発展のあり様よりは昔の仮校舎など記憶に残っているものを探して自分の記憶にオーバーラップさせてみる。日本時代に建てられた校舎やプールは無くなっていた。運動場をはじめ、建物の配置はそのままであった。同窓生の顔や建物など懐かしいことばかりであった。私は他の日程のために途中で退席してホテルへ向かった。タクシーに乗った。運転さんは名門中・高校の卒業生について有名人の名前を挙げてくれた。嬉しかった。発展したものより「変わっていないもの」志向の集まりであった。