崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

野いちご

2009年05月10日 05時54分14秒 | エッセイ
 時々大学のキャンパスを歩き、野生の草花を切って研究室や廊下を飾るのが楽しい。最近大学の坂道を一気に上ることはできない。ゆっくり歩かなければならない。ゆっくり歩きながら草花に視線がいくことが多い。昨日は同僚に誘われ昼食を食べ、デザートに野生の野いちごをたくさん食べた。韓国では「サンタルギー(山いちご)」という。それを日本では「野いちご」とか「熊いちご」と言い、これは人が食べられる。これらはバラ科の多年草の木の実である。これと似たもので人は食べられないイチゴがある。この草のようなイチゴを日本語でも韓国語でもヘビイチゴという。なぜ同じ発想で同じ名前なのであろうか。野イチゴが世界的に広く栽培されるようになって野生の野いちごはまさに野生いちごのまま蛇と熊のいちごになった。最近韓国でも野いちごが栽培され人気がある。キャンパスの坂道で昼のデザートとして野いちごを食べ、まだたくさん残っているのにそのまま帰るのがもったいないと思った。ヘビ、クマ、鳥などが食べる野生のものを人間が横取りしているのだろうか。晩秋に枝に残っている柿を鳥が食べるのを見ると人と鳥が食べものを共有しているように見える。自然の文化化、文化の自然化の現象ともいえるのかもしれない。