崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

滑稽な人

2009年05月03日 06時33分18秒 | エッセイ
 下関の五月の連休は先帝祭で賑わう。昨日前日祭として行われた平家子孫による安徳天皇の追悼祭を観察した。琵琶の演奏会や当時の再現の行列もみた。意外なことにアメリカのピッツバーグからの外人、韓国などからの留学生などが行列に加わっていた。厳粛と華麗な儀礼に参列して、韓国で数多くの儀礼の調査を行ったことが蘇ってきた。観光客も頭を下げたり黙祷をしたりした。
 琵琶を弾きながらの演奏者の口承を大声でいう人がいた。公演などに現れて踊る人や、このように厳粛な時、必ずともいえるほどこのような人が現れる。それはここだけのことではない。否、世界的な普遍的な現象かもしれない。それは人々を完全に同様にすることの難しさを意味する。戦前「非国民」をなくして全国民を「忠良なる国民」とすることは不可能であった。ただそのような存在にどう対処すべきかが問われている。厳粛な雰囲気を壊す人を滑稽に思いながら戻ってきた。