崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

山口大学時間学研究所

2009年03月13日 05時30分00秒 | エッセイ
 山口大学時間学研究所々長の辻正二先生が萩の福祉大学の李文相氏と一緒に私の研究室に来られ、シンポジウム「東アジアと近代化」に関する打ち合わせを行った。時間観念は国家・社会のシステムによって異なる。私の関心は植民地の開発におけるカレンダーの導入に関するものである。11月21日の山口大時間学研究所主催の国際シンポで詳しく討論できることを期待している。
 時間観念は国家に限らず個人の人生観と強くかかわっている。個人の時間の設定と生活パターン、約束時間の守り方などはその人の生き方、つまり成功と失敗まで決定する要因にもなる。教授会などに習慣的に遅れる人は若い人に多い。その意味で時間の管理も年をとることによって成熟していくものと思われる。
 私は二十数年前に韓国の時間観念を分析した論文を書いた。それを発展させて東アジアにおける新暦、旧暦の使い方について拙著『韓国民俗への招待』(風響社)の中に書いた。その拙著を広島大学院の留学生であった張愛花氏が中国語に訳して出版した。その際、台湾のカレンダー部分について中国の行政から削られて本体が薄くなってしまってとても残念と思っている。中国では田舎の同好会のニュースレターまで行政がチェックするということを聞いたのでこのよう検閲は普通といえよう。