崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

花粉症

2009年03月11日 06時08分00秒 | エッセイ
 この季節には風邪が流行する。その「風邪」を例にしてみると日本語では風の「邪」と病的現象として韓国人より強く感じているが、韓国語では 風邪は「感気」といい、気候の変化を軽く感ずる「換節期」の現象と思われる。言葉で文化を説明することは理屈ぽっく思われがちではあるが、花粉症は日本的な環境からの病的現象ではなかろうか。
 どの事務室にもマスクをした人が多いと思ったら花粉症のためであるという。花粉といえば花と蝶や蜂の世界と思ったが日本では環境病のような、文化病のようにも思われる。花粉とは森林が豊富な自然環境をさすが、無菌状況で育ったアレルギー体質ではなかろうか。私からみると贅沢な病的現象のように感ずる。花粉症に苦しんでいる割合は都市圏で高く、花粉症が“都市型の現代病”であることがうかがえる。花粉とは対照的な現象が黄砂である。黄砂の長い中国では痰を吐く唾器を置くのが普通である。それは病的現象とは思われない、自然な生理現象と思われるのである。自然に対処、順応するのが文化であろう。花粉症で苦しい人も頑張ってほしい。