崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

古物か 文化財か

2009年03月04日 05時16分18秒 | エッセイ
 東京駅前の東京中央郵便局の保存をめぐり、鳩山邦夫総務相が保存を主張している。一方日本郵政の西川善文社長は再開発計画を予定通り進める考えを明らかにした。総務相が文化庁や文化人を代表するような発言をしているのは違和感がある。
 開発と保護の対立問題は常にある。これは文化財の破壊問題にもなりかねない。基本的な思考は古物か文化財かという価値観の問題である。郵政民営の商業精神を優先して国が手放した資産運営に干渉する形になってしまった。韓国では国宝一号の南大門の下に地下鉄を作ろうとしたときのソウル市と文化財管理局の対立に似ている。韓国は朝鮮総督府の庁舎も壊した。それは開発のためと言うよりは反日感情によるものであった。私は当時の韓国人の判断は間違ったと強く思っている。
 鳩山氏の「金で買えない文化財の価値」云々と言うことを聞いても半信半疑になる。文化cultureとは広義では「生活様式」全般を指すので、新しく建てる建造物も文化財にもなりうる。「古物」か「文化財」かをよく考える機会になった。