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西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
本ブログ記事の無断転載および無断引用をお断りします。
 

"Le Marquis de Villemer "(1860). Œuvres complètes.

2016年10月21日 | サンド・ビオグラフィ
Le Marquis de Villemer (1860). Œuvres complètes.
Présentation, notes et établissement du texte par Andrée Mansau,
Textes de Littérature Moderne et Contemporaine N° 167.
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"Approaches to Teaching Sand's 'Indiana'"

2016年10月20日 | 海外のG.サンド研究
Approaches to Teaching Sand's 'Indiana' ,
David A. Powell & Pratima Prasad (éd.)
publié par la MLA,2016

“George Sand, the preeminent woman writer of nineteenth-century
France, deserves a place in the MLA Approaches to Teaching World
Literature series. This volume on Sand’s Indiana is greatly needed
not only because the novel is widely taught but also because it could
be taught better—and this volume provides exciting new insights
for teaching it.”

—Annabelle Rea, Occidental College

ndiana, George Sand’s first solo novel, opens with the eponymous heroine brooding and bored in her husband’s French countryside estate, far from her native Île Bourbon (now Réunion). Written in 1832, the novel appeared during a period of French history marked by revolution and regime change, civil unrest and labor concerns, and slave revolts and the abolitionist movement, when women faced rigid social constraints and had limited rights within the institution of marriage. With this politically charged history serving as a backdrop for the novel, Sand brings together Romanticism, realism, and the idealism that would characterize her work, presenting what was deemed by her contemporaries a faithful and candid representation of nineteenth-century France.

This volume gathers pedagogical essays that will enhance the teaching of Indiana and contribute to students’ understanding and appreciation of the novel. The first part gives an overview of editions and translations of the novel and recommends useful background readings. Contributors to the second part present various approaches to the novel, focusing on four themes: modes of literary narration, gender and feminism, slavery and colonialism, and historical and political upheaval. Each essay offers a fresh perspective on Indiana, suited not only to courses on French Romanticism and realism but also to interdisciplinary discussions of French colonial history or law.



https://www.mla.org/Publications/Bookstore/Approaches-to-Teaching-World-Literature/Approaches-to-Teaching-Sand-s-Indiana

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《ふるさとと文学2016~石川達三の秋田》

2016年10月19日 | サンド・ビオグラフィ
文学イベント《ふるさとと文学2016~石川達三の秋田》

10月29日開催 ~「県民読書の日に」にちなんで~(事前申込制)
 一般社団法人日本ペンクラブ(会長 浅田次郎)と秋田県(知事 佐竹敬久)は、10月 29日(土)13:00~16:30、秋田県児童会館けやきシアターにおいて、文学イベント 《ふるさとと文学2016~石川達三の秋田》を開催します。

共催:日本ペンクラブ・秋田県(ふるさとと文学2016 in 秋田実行委員会)
日時:2016年10月29日(土)13:00~16:30(12:30開場)
会場:秋田県児童会館けやきシアター(秋田市山王中島町1-2)
入場料:無料(700名・事前申込)

内容:
(1)「県民読書の日」記念「第3回 ふるさと秋田文学賞」表彰式 挨拶・表彰 佐竹敬久(秋田県知事) 小田美恵子(読書と図書活動をすすめる議員の会会長)
(2)《ふるさとと文学2016~石川達三の秋田》 挨 拶 下重暁子(作家・日本ペンクラブ副会長)
第1部 映像「激流に浮かぶ小舟~石川達三の人・作品・世界」 構成脚本:吉岡忍(作家) 映像制作:四位雅文(映像作家) 人物図案:石坂啓(漫画家) 語り:片岡一郎(活動写真弁士) 作曲演奏:森ミドリ(音楽家)
第2部 石川達三作品『あんどれの母』(抄) 朗読:壇蜜(俳優)
第3部 座談「石川達三の秋田~読書が人をつくる」 佐竹敬久(秋田県知事)、浅田次郎(作家・日本ペンクラブ会長)、 西木正明(作家・日本ペンクラブ副会長)、壇蜜(俳優) コーディネーター:吉岡忍(作家)
第4部 パフォーマンス「踊る。秋田2016」 川村泉舞踊団による「Raise」上演
挨 拶 浅田次郎(日本ペンクラブ会長)

参加申し込み方法 往復はがきに「石川達三の秋田参加希望」と記し、氏名・年齢・郵便番号・住所・電話 番号、同伴を希望される方は同伴者名・年齢(1名まで)を明記し、返信はがきに宛先 を記入して、 〒010-0952 秋田市山王新町14-31 秋田県総合政策課県民読書推進班 までお送りください(問合せ電話番号 018-862-5200)。
9月30日必着。抽選で合計700名様に整理券を返信いたします。

協賛:秋田県市町村振興協会、全日空、大日本印刷 協力:秋田市立中央図書館明徳館石川達三記念室、あきた文学資料館、岡山県高梁市歴史 美術館、神戸市・海外移住と文化の交流センター
後援:秋田魁新報社、朝日新聞社、毎日新聞秋田支局、読売新聞秋田支局、日本経済新聞 社秋田支局、産経新聞社秋田支局、河北新報社、北羽新報社、時事通信社、共同通信社、 NHK秋田放送局、ABS秋田放送、AKT秋田テレビ、AAB秋田朝日放送、エフエム秋田、 CNA秋田ケーブルテレビ 秋田県教育委員会、横手市、横手市教育委員会、仙北市、仙 北市教育委員会、鹿角市、鹿角市教育委員会

日本ペンクラブ
http://www.japanpen.or.jp/news/guide/20161029.html

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9月の アトリエ L'Atelier de l'écriture

2016年10月18日 | サンド・ビオグラフィ
覚え書き:9月の L'Atelier de l'écriture : 13h-15h. 5 participants 


1 Texte : Andre Maurois, Cercle de famille, Grasset, 1932. 65 min.
Lecture 10m. - Ecriture 40 m. - Lecture 15 m.

2 Jeu : "Cadavre exquis " 50 min.
Jeu 30 m - Lecture 20 m.
.
- D'abord, chacun écrit quelques phrases comme on veut sur une grande feuille.
- Ensuite on plie la feuille pour que l'on puisse voir seulement la dernière ligne et la passe a son voisin.
- Chacun lit la dernière ligne écrite par son voisin et continue à écrire librement quelques phrases.
- On continue ainsi pendant 30-40 minutes.
- Enfin on présente les résultats.

3 Texte : Yann Andrea, Cet amour-là, Pauvret, 1999.
Lecture 10 m. - Ecriture 35m. - Lecture 15 m.
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第二回日本翻訳大賞:パトリック・シャモワゾー『素晴らしきソリボ』(関口涼子、パトリック・オノレ訳・河出書房新社)

2016年10月17日 | サンド・ビオグラフィ
語り部ソリボが最後に残した言葉を何とか紙の上に残そうとする、「言葉を書き留める者」シャモワゾーの姿は、原文の声をどうにかして自分たちの言葉にまで連れてこようと格闘する翻訳者の作業そのものです。困難な、そして時には不可能な行為だと分かっていながら、それでも、語りを紙の上に写し取ろうとすること。作品の中にもあるように、息が続かなかったり、リズムに欠けていたり、「声に集中すると身体はおろそかに」なり、「身振りがやっと出てくると声は消えて」しまったりしながら、それでもわたしたち翻訳者が「言葉を書き留め」ようとするのは、その声の断片だけでも伝えられることがあると信じているからです。

語り部ソリボが最後に残した言葉を何とか紙の上に残そうとする、「言葉を書き留める者」シャモワゾーの姿は、原文の声をどうにかして自分たちの言葉にまで連れてこようと格闘する翻訳者の作業そのものです。困難な、そして時には不可能な行為だと分かっていながら、それでも、語りを紙の上に写し取ろうとすること。作品の中にもあるように、息が続かなかったり、リズムに欠けていたり、「声に集中すると身体はおろそかに」なり、「身振りがやっと出てくると声は消えて」しまったりしながら、それでもわたしたち翻訳者が「言葉を書き留め」ようとするのは、その声の断片だけでも伝えられることがあると信じているからです。

何重にも響き合い、変容し、打ち上げ花火のようにあちこちで物語が繰り広げられるこの作品を訳す

二人で、作品について語り合うことで、一人で考え込んでいるよりもずっと自由になることが出来、また、思い切った試みが可能になった部分もあったと思う

『素晴らしきソリボ』は、唐突に思われるかも知れないが、ビート文学とクレオール文学に手を繋がせるパワフルな言葉に溢れている

。私の方は、ソリボの口上を訳しながら、沖縄の漫談師、小那覇舞天のCDを聴いていました。雑多な言葉を、それこそ総動員することで、やっと紙の上に「写し取る」ことが出来たのではないか

翻訳者の仕事は孤独なものですが、今回は、二人で訳す、という作業があっただけではなく、訳すにつれて、作品の中に出て来る登場人物の声が部屋の中にこだまし出す、例外的に賑やかな翻訳体験をすることが出来ました。

https://besttranslationaward.wordpress.com
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文学とBDの祭典「読書の秋2016」:アンスティチュ・フランセ

2016年10月16日 | 手帳・覚え書き
アンスティチュ・フランセ・東京(飯田橋)

読書の秋 2016
2016-10-06 - 2016-10-30 『ラストマン』複製原画展
2016-10-22 対談:日本の影響を受けたフランスのアニメーター世代
2016-10-23 【パートナーイベント】 海外マンガフェスタ 2016
2016-10-27 - 2016-10-30 『はちみつ色のユン』原作者・監督 Jung(ユング)来日
2016-11-05 ルイ14世の幼年時代
2016-11-06 対談 : デルフィーヌ・ドゥ・ヴィガン& 角田光代
2016-11-12 本の市
2016-11-13 対談 : フランソワ・ボン & 藤井太洋

2016-11-18 『海に浮かぶ小瓶』 文学にもとづく映画
2016-11-18 対談:ヴァレリー・ゼナッティ & 江國香織


読書の秋2016」は10月、バンド・デシネ(BD)のイベントで幕を開けます。
評論家から絶賛された『ラストマン』シリーズをクローズアップ し、展覧会をはじめ、
この人気BDを原作としたアニメシリーズの展示、作者のバスティアン・ヴィヴェス、
バラック、ミカエル・サンラヴィルを迎えたトーク ショーなどを開催します。
作者の3人は、第20回文化庁メディア芸術祭や第5回海外マンガフェスタにも参加します。

11月には著名な作家を迎えたトークショーや対談が続きます。フランスの作家デルフィーヌ・
ドゥ・ヴィガン、フランソワ・ボン、ヴァレリー・ゼ ナッティに加えて、日本から角田光代、
藤井太洋、江國香織、小野正嗣、堀田あけみ(敬称略)らを招き、質の高い文学イベントが
開催されます。
ゲスト作家が 文学の専門家と対談するほか、フランスや日本における執筆活動を紹介します。

講演会、執筆ワークショップ、映画上映会など、いずれも今回のイベントのために特別に
来日した作家とともに、発見に満ちた秋のひとときを過ごすことができる貴重な機会です。

大勢の皆さまのお越しをお待ちしています。

アンスティチュ・フランセ日本
書籍担当
クレマンス・オリヴィエロ

http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/fa2016/
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George Sand Romancière au masculin

2016年10月15日 | サンド・ビオグラフィ
George Sand Romancière au masculin

La Compagnie des auteurs se plonge en quatre volets
dans l’œuvre de George Sand (1804-1876) romancière,
critique littéraire et femme engagée du XIXème siècle.
Aujourd'hui, nous parcourons sa biographie, une vie
emplie d'audaces, de romances et de littérature.

http://www.franceculture.fr/emissions/la-compagnie-des-auteurs/george-sand-14-romanciere-au-masculin
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『ジョルジュ・サンドの世界』

2016年10月14日 | サンド・ビオグラフィ
『ジョルジュ・サンドの世界』

十九世紀フランス女性作家 ジョルジュ・サンドの世界 ―生誕二百年記念出版

著者:秋元千穂/石橋美恵子/坂本千代/高岡尚子/西尾治子/
   平井知香子/吉田 綾/渡辺響子 共著

序章 ジョルジュ・サンドの生涯と作品         平井知香子

第一部 女性作家のエクリチュールの戦略
 第一章 『アンディヤナ』の戦略――流行作家への道  石橋美恵子
 第二章 『レリヤ』改訂の意図を考える         吉田 綾

第二部 芸術、そして社会へのまなざし
 第一章 ジョルジュ・サンドの小説における芸術家像   渡辺響子
 第二章 田園小説四部作に見る、パリと地方と理想郷   高岡尚子
 第三章 ジョルジュ・サンドの作品に見る演劇性    秋元千穂

第三部 未来への夢――晩年のサンド
 第一章 『マドモワゼル・メルケム』に見る理想の女性像 坂本千代
     ――三十五年後のサンド流ユートピア
 第二章 ジョルジュ・サンドと犬 平井知香子
     ――『アンディヤナ』から『犬と聖なる花』まで

第四部 ジョルジュ・サンドの物語世界における「語り手」の意匠
 第一章 女性作者の内在的創造戦略と「語り」の手法 西尾治子
     『アンディヤナ』―謎の「語り手」と「私」(je)
 第二章 多声的物語世界と「語り」のパラダイム 西尾治子
     ―『レリヤ』から『モープラ』へ
 第三章 『オラース』―「語り手」と歴史の記憶   西尾治子

 参考文献
 ジョルジュ・サンド年譜
 索引

【著者まえがきより(抜粋)】
 本書はフランス十九世紀文学を代表するジョルジュ・サンドの生誕二百年を記念して企画
されたものである。東京、関西、九州に在住する私たち八人のサンド研究者が集まり「日本
ジョルジュ・サンドの会」として年二回ほど会合を持つようになったのは二〇〇〇年のことで
あった。サンド生誕二百年にあたる二〇〇四年に向けて、わが国ではほとんど紹介されてい
ない著作の翻訳出版や、絶版になっている翻訳本の再版を働きかけるとともに、私たちの手
で最近の研究成果を多くの方に読んでいただける本として出したいと考えたからである。
サンドに関するこういった試みは日本では初めてであり、試行錯誤の末やっとこのような形で
陽の目を見ることとなった次第である。

 サンドはバルザックに匹敵するほど多作な作家であるが、書簡集や紀行文などの翻訳を除き、
わが国で現在も書店で入手できる唯一の小説は『愛の妖精』(岩波文庫)のみであり、その他の
作品はあまり知られていない。作品より人生のほうが面白い作家、男装をし、葉巻をくゆらせ、
パリの街を闊歩し、多くの有名人と交際する飛んでる女サンド。彼女の紹介のされかたはいつも
こんな風であり、詩人ミュッセや、ショパンを恋人とした恋多き女としての名ばかりが先行した。
一九五四年アンドレ・モロワの画期的な伝記『ジョルジュ・サンド』(原題『レリヤあるいはジョ
ルジュ・サンドの生涯』)が日本語に翻訳されたとき、作家の宇野千代(『おはん』、『生きて
いく私』の著者)は阿部艶子との対談で波乱に満ちた自己の人生との類似を認め、「生活者として
の伝記」に興味を持ったと述べている。モロワは伝記の最後で「コンスエロがレリヤに勝った」と
しているが、一八三三年版の『レリヤ』のヒロインをドン・ジュアンにたとえ、「レリヤはどの男も
快楽を与えなかったので男から男へと渡り歩いた」と言っている。このため後の代表作とされる
『コンスエロ』のヒロイン、コンスエロがオペラ歌手として成功し、たくましく生きてゆくのに
対し、伝記の原題名に含まれるレリヤのペシミスティックな女性のイメージの方が強烈な印象を
与え、以後のサンド観に大きな影響を与えた。またサンドと同時代の詩人ボードレールが『赤裸
の心』の中で「悪魔とジョルジュ・サンド」と言ったり、さらに嫌悪に満ちた言葉で激しく揶揄した
ことも大きなマイナス要因になった。

 サンドの作品の正当な評価に最も貢献した研究者の一人は、『ジョルジュ・サンド書簡集』(全
二六巻、最終巻は一九九一年)を完結させたジョルジュ・リュバンであろう。リュバンはサンドの
故郷ノアンから二十五キロ離れた地に生まれた。同郷の彼にとって、サンドの田園小説を彩る古い
美しい言葉は祖父や祖母が実際使っていたものであり、登場する農民たちもごく身近な人々であっ
た。小学生の頃からサンドの作品を読んでいたリュバンは最初サンドの伝記を書きたいと思ってい
た。しかし彼自身「すばらしい伝記作者」と認めるざるを得なかったモロワに先を越されてしまう。
彼の関心はこうして書簡編集へと向かう。一九六四年の第一巻から数えて実に二十七年、実質的に
は編者のいう「半世紀に近い」歳月をかけた労作である。十九世紀のフランスが丸ごと映し出されて
いるこの膨大な『ジョルジュ・サンド書簡集』のお蔭で、今後の研究がどれほど実り豊かなものと
なるか計り知れない。こうした先人たちの努力に少しでも報い、本書が再考のきっかけとなって新
たなサンド像の発見となれば幸いである。
 本書の第一部は初期の代表作『アンディヤナ』と『レリヤ』を中心に扱う。これらは若き日の
サンドがペン一本で流行作家となるための苦闘の跡がにじみ出た作品である。
 第一章ではフェミニスト・サンドの第一声となった『アンディヤナ』をメロドラマ、イギリス趣味、
異国趣味の観点から分析する。
 第二章は、初版と改訂版の二つの『レリヤ』をとりあげ、その改訂の意図を探る。従来、モロワが
伝記で強調した初版の『レリヤ』に対し、改訂版の『レリヤ』は舞台が修道院に移ったため面白みの
ない宗教小説と捉えられがちだった。しかしこの改訂こそ「愛と理想と真実を求めてやまないヒロイ
ンの魂」ゆえに作家サンドにとって必要な作業であったとしている。

 第二部では円熟期の作品を主に扱い、サンド文学の真髄に触れる。
 第一章は『アルディーニ家の最後の令嬢』、『オラース』、『テヴェリノ』を中心に芸術家像を追う。
 第二章は社会主義小説から田園小説へ。田園小説が書かれた時期は二月革命を挟んで思想的にも大きな
転換点にあたる。作者の目が社会の不平等や悲惨な下層階級の人々に向けられ、やがて田園の中に理想
社会を求めるようになる。代表作として最もよく知られている田園四部作、『魔の沼』、『棄て子フラン
ソワ』、『愛の妖精』、『笛師のむれ』を「乖離と融合」という共通テーマに沿って分析する。
 第三章ではサンドが若い頃から興味を抱いていたファンタスティックと郷土色豊かなメルヴェイユウ
という二大文学ジャンルに焦点を当て、劇作を中心に読み解いている。

 第三部は長い作家生活の最後の時期にサンドがいかなる夢を描いたかを見る。
 第一章は一八六八年に発表された『マドモワゼル・メルケム』を『アンディヤナ』と比較し、その恋愛観
と結婚観がどのようなものであったかを検討する。
 第二章ではサンドの作品における「犬」をトニー・ジョアノの挿絵とともに追う。犬はサンドの作品の初期
から後期に到るまで必ずといっていいほど重要な場面に登場する。オフェリヤ、ブレロー、ラブリッシュ、
パルプリッシュ、バッコ、そしてファデ。サンドが『祖母の物語』の一番後に書いた『犬と聖なる花』では、
なんと犬のファデはルシヤン氏(犬氏)に進化するのである。

 最後にサンドの作品群という広大な世界を探索するにあたってこれまでと切り口を変え、「語り手」の問題
を考察する。十九世紀フランスの文壇という男性中心社会で女性作者が生きていくためには、外的創造戦略
としては、「筆名」と「男装」を、内的創造戦略としては「語りの手法」と「仮面」が必要であった。サンドはこれ
らの戦略を縦横無尽に駆使し、独自の小説世界の構築に挑んだのである。『アンディヤナ』、『レリヤ』、
『モープラ』、『オラース』などの主要作品を中心に「語り手」を六種類のパターンに類型化し検討した。
『レリヤ』で論証された「不可視のポエジー」はもうひとつの『レリヤ』を読み解く鍵となるであろう。

http://www.daisan-shobo.co.jp/book/b37459.html
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ボブ・ディランさんにノーベル文学賞2016:音楽家・作詞家

2016年10月13日 | 覚え書き
Comment Robert Zimmerman inventa Bob Dylan par François Bon

Bob Dylan Prix Nobel de la littérature 2016

http://www.franceculture.fr/emissions/fictions-le-feuilleton/comment-robert-zimmerman-inventa-bob-dylan-par-francois-bon-110-bob


ディランさんは1941年5月24日、米ミネソタ州ドゥルース生まれ。
カントリー音楽やブルースの影響下、高校時代から音楽活動を始めた。
62年、アルバム「ボブ・ディラン」でデビューした。

 63年に出したセカンドアルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」には、
「風に吹かれて」「戦争の親玉」など、その後も代表曲として歌い続けられる
作品が収められ、高い評価を受けた。さらに64年にはアルバム「時代は変わる」
を発表。公民権運動やベトナム戦争に揺れる若者たちの心をとらえ、プロテスト・
シンガーとして熱狂的な支持を受けた。現在に至るまで精力的なライブ活動を続け、
ロック界のカリスマ的な存在であり続けている。

 78年2月末に初来日して東京と大阪でコンサートを行い、86、94(2回)、
97、01、10、14、16年にも来日公演を行っている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161013-00000068-asahi-soci
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東京大学コレクション『マザリナード集成』

2016年10月12日 | サンド・ビオグラフィ
東京大学コレクション『マザリナード集成』
十七世紀フランスのフロンドの乱とメディア(予告)


東京大学コレクション『マザリナード集成』は約2700点のマザリナード文書です。これは絶対王政確立の前夜、ルイ14世の未成年時代にフランスを混乱に陥れたフロンドの乱(1648-1653)の際に出版された印刷物です。「マザリナード」mazarinadeという呼称は、時の宰相マザランに由来し、初めは反マザラン文書を指していました。しかし現存する約5000種類の内容は高等法院裁決のような公文書から、国王の手紙、政治的誹謗中傷、戦況報告、パリの食糧難を嘆く詩、張り紙、建白書、果ては料理のレシピまで…。言い換えるなら、フロンドの乱のありとあらゆる発言の集合です。

マザリナード文書はフランスの歴史において貴重な第一次資料ですが、扱いの難しい資料体でもあります。なぜなら、これらの文書は敵方をあざむき、陥れるために「嘘をつく」こともあるからです。けれどもマザリナード文書の面白さはじつはそこにあるのです。歴史的証言として「内容を鵜呑みにはできない」が、これらの文書は「何を」「どのように」伝えようとしているのか…。「誰に」「どんな影響を」与えようとしているのか…。そして人々はどのように反応したのか…。フランスの内乱のさなかに「石つぶて」として飛び交った言葉――マザリナード文書――は、それ自体が行為としてフロンドの乱の一部を形成するものです。

パリのポン・ヌフを中心に本屋や行商人を介して流通したマザリナード文書は、一方で同時代人のコレクターを数多く生みました。東京大学コレクションもフロンドの乱の同時代人を含む複数のコレクターに由来します。コレクションはフランスだけでなく、イギリス、ドイツ、アメリカ、ロシア、バチカン等、世界中に見いだされますが、東京大学『マザリナード集成』のように2000点を超すものは大型コレクションに分類されます。

2008年からこのコレクションのデジタル化に着手した「マザリナード・プロジェクト」では、2011年に電子コーパス化した『マザリナード集成』をWebで公開しています。このサイトは古文書を閲覧による劣化から保護すると同時に、マザリナード文書に関する知識の集積と共有のための学術研究用プラットフォームとしても設計されており、すべての人に開かれています。
http://mazarinades.org/ (仏語・一部日本語)
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