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官僚は制度に負けるのか4

2004年12月04日 13時54分02秒 | 行政制度
続きです。あまり時間が取れなくて遅れてしまいすみません。
少ししか進めませんでした。


不正について

buuさん
・一つ目には給料が安いこと。二つ目には評価の幅が少ないこと(やってもやらなくても一緒。またキャリアとノンキャリの身分差別も関与しています)。三つ目として公務員も人の子であるということ。四つ目が社会環境がそれを許してきたこと。
・犯罪のない社会などはこの世にはほとんど存在しないわけで、全てが正当に、というのは無理
・公務員だけ体質改善、これはかなり難しい
・厳罰をもって対処する


・仕組みを悪用すれば色々な不正・不当行為をすることも可能
・組織体質というか風土なのではないか、そして業務評価(執行された結果の)が正しく行われないからではないのか

内部の意見としては、ちょっと驚きました。問題の根が深いということでしょうか。現状では自浄作用に期待するのが困難ということであるということなのでしょうか。体質改善は期待できない、ということのようです。あとは、職業倫理を守れない人も中には存在するようなので、それを内部的に指摘して(ひどければ告発するとか)改善できないものなのでしょうか。私は原因論的に考えていましたが、原因除去という立場からではうまくいかないのかもしれません。検査機能という視点からでは、無くすことが困難ということでしょう。


例えば検察官、裁判官、旧国立病院の医師や国立大学の研究者等は給与体系に多少違いがありますが同じように国家公務員でした(国立病院・大学は独立行政法人になってしまいましたが)。彼らが、飛びぬけて高い報酬を得ていたとは考えていません。教育水準も高いですし個人の能力としても優れた人達であろうと思っています。そういう人達が、給料が安いという理由で官僚ほど不正を働いているとは思っていません。出現頻度を調べたわけではないので、分母が違うのかもしれませんが。

「給料が安い」ことを第一の理由に挙げておられますが、通常40歳の検事や国立病院医師がおっしゃられているようなレベルの高給取りとは言えないでしょう。国立大学の教授になれるのは、一部署だけで見ると15~20年に1人くらいの割合と聞いたことがあります。国立病院長といえども年俸3千万円などということはないでしょう。報酬が自分の考えよりも安いからといって、不正な権限行使をする人達が多いとは思っていません。それとも官僚の方が志の低い人の割合が高いということでしょうか?

そういう自分の報酬の多寡によらず、正当に遂行しようとする意志と信念を持ち、人々のために役立っておられるからこそ、尊敬でき信頼できるのであろうと思っています。当然ながら皆が聖人君子とも思ってはいませんが、少なくとも私の中では政治家や官僚に比べるとはるかに信頼できる人達であると考えています。

もしも、一般論として官僚達は、自分の能力が優れているにもかかわらず、それが正当に評価されないばかりか薄給にあえいでいるので、業務を正当に行う動機を失う、というご意見ならば、官僚達の特権階級的意識が強いと思うし、多くの国民に理解されるものではないと感じます。真に個人が考える能力に見合った妥当な報酬を求めたいならば、最初から官僚を選択しなければ済む事です。

私の意見としては、官僚の意識改善を図ってもらうことが最も効果的だと考えます。特別な制度や仕組みも必要なくできますし。個人の意識が変われば組織としても変わっていけるのではないかと思っています。


官僚は制度に負けるのか3

2004年12月04日 09時46分02秒 | 行政制度
buuさんからのTBがありました。また記事に書いてみます。


今までの印象では、官僚経験を有しておられるということで内部からの視点というように感じます(当たり前なんですが)。
私は部外者というか一国民として危惧しているというだけですが、buuさんは実情を知る者として単なるバッシングではなく意義のある制度改革を政治的手段を用いて行うべきである、というような意志であろうかと思います。これに賛同できないというものではありません。私の過去の記事に書いてきたことは、現在ある国家公務員制度の中で、官僚に組織改革―主として意識改革ですね―を求めるものであったし、個々の事例について検討してきました。今回のような意見交換によって、制度自体というか行政の持つシステムについて考える機会になったことは意味があります。


どのように書くのがいいのか判りませんが、今まで自分の主張を書いてきましたから、少し整理してみようと思います。


今までの記述に基づいて、いくつか論点を整理してみます。


行政に関する訴訟

buuさん
・国民の「面倒だから行政に関する訴訟をしない」という考え方の延長線上に今の日本が存在する
・個々で訴訟する必要がなく、NPOをつくることもできる
・少なくとも自分はやらない、細かい不正にそれほど興味を持っていないから

私  
・行政側が行う決定そのものの正当性について、一般人は調べられないし検証することもできず、方法論としては、やはり訴訟以外ありません
・訴訟に関わる個人的労力よりも行政の一件の決定についての法的評価を優先すべし、ということが本当に一般国民に認識されているとは思わない
・裁判所に出廷するため仕事を休んだり、訴訟費用を結審まで払い続けたりは到底できないので、私はしない
・オンブズマンとか多人数の原告団とかが訴訟を起こしていることを知っているが、国民がぞれぞれ裁判所での判断を仰ぐことは非効率的である
・国民が個々に訴訟する以前に、会計検査院という行政上の検査システムが存在する

訴訟に関しては主張が異なっております。

私の意見は、一般個人が正当性の検証をするには訴訟という手段しかないが、現実には無理であろうと考えており、本来その役割は検査院が担うべきものである、というものです。

buuさんの主張は文脈から見て、「個人で行う必要はないが、NPO等の組織をつくりそこから訴訟を提起し行政が行う決定についての正当性を検証すべきである」、ということであろうと解釈しますが、違っていたらお考えになっている訴訟に関する見解を記して頂きたい。

網羅的に訴訟するのでしょうか。例えば、補助金適正化法第7条第2項規定の適用事業か?、農業用水路整備事業の工事についての単価は合理的価格設定か?、年金保険料の徴収システムの契約額は適正か?、~~村に対する基地周辺対策費は適正額か?、~~協会への補助金事業は正当か?、~~事業に関する調査費は必要か?、~~センターの建設費は適正額か?、~~薬の保険適用外は正当か?、等々たくさんあると思いますが、検証は容易ではありません。相当の専門的知識を有していて開示請求すべき文書を知っており、かつ開示された情報を検討し、不当事項を探して訴訟となるわけで、現実的には多くの国民は実行できないのではないかと予想します。

オンブズマン等の市民団体やNPO組織に殆どの有権者は参加して行動すべきである、という主張でしょうか。仮にbuuさんが提訴するとしたならば、「細かい不正」ではなく何についての訴訟なのでしょうか?

勝手な解釈を付与するとすれば、「国民が行政についての理解を深める労力を惜しまず、日常から行政の決定に関心を持って正しい判断ができるようになるべきである」、「こうした判断に基づいて投票という権利を行使してほしい」というような趣旨ではないかと思いますが。



行政の権限について

buuさん
・立法府の能力不足
・省庁から立法業務を奪うことに異論はありませんが、その時の代替案はあるか?



・実質的には省庁内で法律に基づき各種の決定を行い、自分達でそれを運用し、不当かどうかを自分達で決めているようなもの
・評価がない為に、業務に関わる決定権等の権限を有する官僚達個人が権限を誤って行使したとしても、正されることがないか不正を働いて見つかってしまうことがあるかぐらい
・法令の解釈・運用・決定(適用)の全ての権限を省庁の官僚が有するという状況が、業務の効率性や正当性の評価がなされないまま行政が執行されていく要因となってしまっている

この点に関しては、buuさんの指摘や主張が少ないので真意は図りかねますが、「立法府の能力不足」は間違いないということでしょう。具体的にどの様な点について改善すべきかは主張がないのでわかりません。議員個人の能力についてなのか、制定される法律の不備なのでしょうか。

私は、権限行使の評価がないことが不備であると考えています。法令解釈に関しては官僚が有することは容認できますが、それに関しても最終的な決定後に正当性について評価する必要があると思います。

主張にズレがありますが、対立点は見出せません。もし、違う主張であればご意見をお願いします。



検査システムについて

buuさん
・費用対効果の問題
・公務員の不正を監視するためにかなりの努力を払っていた(所属していた所では)
・行政府の機能不全を防ぐ役割は当然立法と司法で実施すべきで、同時に「世論」という手段もあるが、きちんとした情報収集と理論武装が必須


・会計検査院が検査を実施しているが、当然全てを網羅できるわけではない
・問題を放置している内閣に問題があるのか、提出された検査院報告を安易に承認する立法府である国会(議員さんたち)の能力不足なのかはわからない
・現実問題として検査院が全てを検査することは困難で、省庁間との信頼関係に依存する部分が当然ある

効率的に検査を行うことは難しい問題ですが、私は検査院の機能に期待したいと思います。評価機能を有していることと、憲法に制定されているようにその存在と職権は非常に有効であると考えます。ですが、実行となると現実は厳しい面がありますから、人員増を図るとかが必要かもしれません。他には、信頼関係に期待することくらいでしょうか。

buuさんは立法、司法に実施させるとして、どのような方法をお考えなのでしょうか。世論とはいわゆる「批判」というニュアンスなのでしょうか。判決のような公的権力の行使でしょうか。


まだ途中ですみませんが、残りはまた書きたいと思います。