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法と正義5

2004年12月14日 13時59分22秒 | 法関係
匿名告発の続きです。前の記事も参考に読んで頂きたいと思います。視点を少し変えてみます。
内部告発者は保護されてきたか?


内部告発の告発者が受ける不利益について考えます。
匿名性が重要かどうかの判断材料としてみたい。


少し前の話になるので、正確ではない面があるかもしれませんが、概ね報道等から判明していることに基づいて書いてみます。(覚えている方は間違いを教えて下さい)


かつて検察庁に調査活動費という支出項目があり(現在もあると思いますが)、この不正疑惑が持ち上がったことがありました。会計処理が不明朗との理由だったようです。現在の警察組織の裏金問題(捜査費や捜査報償費)と似たようなものですね。


マスコミがこれについて嗅ぎ回ります。状況証拠は全国的に検察組織が裏金作りをしていたことを示していました。某テレビ局はこの特集を組んで精力的に取材していきます。追及の手がいよいよ検察庁に届きそうになります。テレビ局は某高検の部長職にある人物(M氏とします)による内部告発の収録を予定しました。この内部告発が行われれば、検察の信頼は地に堕ち、幹部連中はタダでは済まなくなるでしょう。最高検の幹部の引責問題に発展する可能性もあり、首の一つや二つ飛ぶかもしれません。

そのような状況下で、カメラの前で発言する5日前に、なんとM氏は逮捕されます。容疑は詐欺容疑でした。競売で手に入れた不動産に実際に居住していないのに居住用と偽り、登録免許税の軽減措置を受けたとして詐欺罪に問われたのです。また、暴力団関係の収賄罪も追起訴されます。


M氏の公判がどの様な結果となったかは、私にはわかりません。ですが、法曹界には衝撃を与えた事件だったのではないかと思います。内部告発の恐ろしさはこのようなところに見られます。巨大な権限・権力を相手にするとき、非常に危険を伴うことを覚悟せねばならないのです。M氏が本当に詐欺罪や収賄罪を働いたのかは不明です。人間ですから、あらを探せば一つや二つすねに傷があるやもしれません。しかし、M氏が真の犯罪者であったのか、また法の罰を受けねばならないほどの悪・犯罪がそこに存在していたのか、ということになると、疑問と言えるでしょう。法がそんなレベルのものにも厳罰をもって臨むならば、起訴される人は何倍にも増えるのではないかと思います。社会が求める法の正義は、M氏に刑事罰を与えることなのでしょうか。

状況的にあまりによく出来たタイミングで、内部告発は阻止されたのです。これはあからさまな「陥れ」ではないかと勘ぐってしまします。この後、世間やマスコミは検察の裏金には「蓋をされた」感じで、段々と記憶が薄れていきました。


内部告発者を保護することは容易ではありません。こうした、公権力がどのように作用してくるのかについても、よく考えねばならないことを示していると思います。私個人の感想は、M氏の正義感と勇気に感動しました。そして、告発できずに終わったことがあまりに無念であると思います。告発の勇気は、彼の人生と社会的地位の全てを奪いました。周囲の人間たちにもどうしてあげることもできなかったのかもしれません。

本当に告発者が法によって守られるのか、不安ですね。法を司るものたちに陥れられたら、逃れる術はないでしょう。


こんなことを思い出すと、匿名であることは重要であると思うのです。果たして専門家の方々はどの様に考えられるのでしょうか。


追記
コメント欄に、重要情報をお寄せ頂きました。誠に有難うございました。うまくURL入れられませんが、下のアドレスにHPがありますから、皆さんも読んでみて下さい。