短歌メモから。
毎時毎時の五分ニュースに耳欹て朕は高級葡萄をくちに転がす
あのニュースは気に入らぬ放送局長に伝へろ 朕は手元の伝声管に怒鳴るけふも
放送局長はピクピク頬を引き攣らせ報道部長をけふも叱責
***
丸の内蔦紋透かし入り封筒の差出人名山崎庄兵衛長鏡とあり
この人は山崎長徳外孫にして青山豊後長正三男の長鏡だらうか
長鏡の封書に雨滴の染みはあり 切手の替はりに鳥形の染み
夜更け過ぎの路地駆け抜けたる早馬を見し人ありとか バス停の朝
有り得ないですよね、で全ての会話は閉ぢられぬ バス来てひとは黙つて乗り込む
長鏡は彼岸にゐるもラジオ・ヘビー・リスナーらし 〈このままでは日本が〉と思ひて筆執つた由
私が大聖寺町本光寺の墓所に参つたとき長鏡は山門脇にゐたらし
長鏡は今の日本を心配し三途の川渡りて封書差し出す
三途の川の河原にひつそりポスト立つ 早馬配達夫の住む小屋の脇
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