2024/04/18 読売新聞オンライン
奈良市の興福寺で17日、生き物の殺生を戒める仏教の教えに基づき、全ての命に感謝する法要「 放生会ほうじょうえ 」が営まれた。近くの猿沢池で、事前に採取した在来種で淡水魚のモツゴ約60匹を僧侶らが放流した。
境内の一言観音堂で森谷英俊貫首らが法要を行った後、猿沢池のほとりで般若心経を唱え、おけに入ったモツゴをスロープを伝わせて池に放った。参拝者や近くの奈良市立椿井小の児童も放流に加わった。
モツゴの採取を担当した近畿大農学部の学生らは、日頃から猿沢池の生態系維持に向けた調査を行っているほか、放生会を機に椿井小の児童が生態系を学ぶ授業にも関わっている。農学部の北川忠生教授(保全生物学)は「地域と連携して生態系と伝統を守る取り組みを、全国で行われている放生会のお手本として発信したい」と話した。