左 木村 / 右上 渥美 / 下 加藤 ー墨・カラメル色素・金泥・木炭・パステル・コンテ
岩田です。
以前、ゼミで墨汁やカラメル色素などを使って、スパッタリングやドリッピング、つまり液体を筆で垂らしたり、勢いよく筆で絵の具を飛ばしたりして遊んだ紙を下地として、鹿の骨や牛骨を描いた作品を3つ並べました。
下地として使った画材は同じですが、結果的に仕上がりに皆ちょっとづつ違いが見受けられます。とはいえ、3つとも2時間で描いているにも関わらずクオリティが高く、魅力的な絵になっています。
いつもは白い紙に黒い鉛筆で描いていくけれど、今回のような作品は、中間のトーンを作ってから黒い炭や白いチャコペン等で描いていくので通常のデッサンより時間短縮ができる上に完成度も高く見えるのです。
例えば渥美さんの作品を見ると、2時間で描いた以上に完成度が上がって見えるでしょう。
白から黒までのトーンが綺麗な上、下地が牛骨の明暗に丁度良く当てはまっています。スパッタリングでできたしぶきを上手に活かしていてカッコいいです。
加藤さんは、下地の上に主に墨で描いているので、どちらかというとラフな感じ。更に木炭によるハッチングも使っていますが、敢えてそのように着地させているのです。普段は、かなり突っ込んで描ける方なので、今までにないザクっとした仕上がりは、ご自身にとっても新鮮だったと思います。
木村さんは鹿骨を画面の中心に据えて描いている故に、どこかモチーフが象徴的、もしくは絵自体が宗教的な雰囲気を醸し出しているのが面白いところ。
細部を見てみると、鼻先に使っているちょっとしたチョークの使い方など上手いなあと思うところがありつつ、背景のコントラストがきついので、鹿骨が目立たないという点もあります。とはいえ、木村さんにとってもこういう描き方は初めてだと思うので、そのワクワクドキドキ感が伝わってくるようです。
所謂グレーデッサンと云われるものは、古くはダビンチなども描いていますね。
皆さんも画材屋でミューズコットン紙のような中間色の紙を買ってきて、今回のような描き方に是非チャレンジしてみて下さい!
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