大竹です。今回ご紹介させて頂くのは瀬戸さんのデッサンです。ガラスと金属の描き分けと物の映り込みが課題となるようなモチーフ選択の為か、受験生のデッサンのような雰囲気がありますね。
紙がボロボロになり描けなくなってしまうほど何度も何度も描いては消してを繰り返し、粘り強く描写を追っていかれていたので、全体を見た時に迫力があります。ジョッキの後ろに隠れているのは、瀬戸さんが持参されたチョッパーの壊れた目覚まし時計。ジョッキ越しに見える姿の輪郭は、少しはみ出ている角や足先とはズレがあるので少々難しくなっておりますが、しっかりと描ききっていますね。帽子上部はガラス一枚越しですが、その下は二枚越しなのでそれぞれが異なる歪み方をしています。その描きわけもバッチリですね!ジョッキの方も白黒のメリハリを効かせつつ、フチや表面の溝、床に落ちているガラスからの光なども細かく追われているので、ガラスの重みや硬さ、冷たさが感じられます。
映り込みや全体の色味に苦戦された丸い金属のピッチャーも、隅々まで要素を見逃さないという意思が感じられます。蛍光灯の光の白が黒っぽい金属の色合いの中でメリハリが効いていて気持ちが良いですね。回り込みの描写も丁寧にされていて、平面のデッサンからでも実際に丸いピッチャーを手に取った時のイメージを浮かべることができます。よーく見てみると、ちゃんとチョッパーくんも映っています!しっかり描かれています!時間をかけてガッツリ描かれた真面目な部分もありつつ、このようなちょっとした可愛らしさも見え隠れしている魅力的なデッサンですね。
瀬戸さんが持参されたチョッパーくん、壊れているにも関わらずモチーフとして持参されたからには相当チョッパーがお好きなのかな?と思いましたが、意外にもキャラの名前もご存知なかったそうで…壊れているのに可愛くて捨てがたく、なんとなく持っていらしたと言うご家族のものだそうです。是非チョッパーくんと一緒に、今回のデッサンも大切に取っておいて下さいね!また何枚か描いた後に見返すと面白いですよ!