左 璃 高3 / 右 彩加 高2
近頃は随分と日が長いなあと思っていたら夏至が過ぎてしまいました、ナツメです。今回は学生クラスから2人のデッサンをご紹介します!
初めに左の璃の作品。まず見てほしいのはブーツとインク瓶の暗さ!彼女は美術系を目指しているのですが、この時期にこれほどグッとした濃い黒を入れられる度胸は素晴らしいですね。デッサンではモチーフの1番暗いところから描いていくので、1番明るい紙の白との明度の差があるほど、黒と白の間のグレー、つまり中間色の表現の幅も広げることが可能になります。奥に置かれたブロックを見てください。もしブロックが単体で描かれていたら、同じに描いてもここまで綺麗なグレーには見えてきません。ブーツやインク瓶の黒さ・暗さと対比させなければ、ブロックの光は伝わらないのです。璃の技量の成せる技ですね。
そして右の彩加の作品ですが、よく見ると一つ一つの縄目まで細かく追っています。私だったらどうにか誤魔化してしまいますが、逃げずによく観察して描き切ったその根性に感服!モチーフそれぞれの質感の描き分けもさることながら、それぞれが床に落とす影が丁寧に描かれているので、空間がとても綺麗に見えますね。縄やリボン・ホースなどの長いモチーフは、手前・奥の前後関係=空間を出す為に使うのですが、デッサン4枚目にして二次元の平面絵画の中に三次元の奥行きを感じさせるという演出も効果的に使いこなしています!
モチーフ同士をどう引き立て合うか、全体のバランスを冷静沈着に考えている璃に対し、彩加は趣味で通っているので、楽しく描けるところをムシャムシャ美味しそうに食べている(?)印象を受けました。どちらもデッサンだけでなく絵を描く上でとっても大事なことです。(そして二人共とってもお洒落で、服装も毎週こだわっているところも、絵を描く上でとってもとっても大事なことだと思います!)
ちなみに私も美術系を目指す前のデッサンはそれなりに好きで自由に描いていましたが、進路を決めてからは評価を気にしがちになり伸び悩みました。どうやってその状況を打破したかは「ここは描いてて楽しい!」という場所を1箇所でも見つけるようにしたこと。ささやかでも「楽しい」を自覚するようにしてからは、絵に対する取り組み方や気合の入れ方も変わったので、それ以降、大学生になった現在も、作品制作の時は苦手な課題でも少しでも楽しんで作るようにしています!
デッサンは立体を作る際でも役立つ『基礎・オブ・基礎』なので、2人とも今回の作品を糧に、次に繋げていって欲しいですね!