モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

固定観念って?

2022-12-13 19:49:00 | 小学生 絵画

保温できる水筒を生活に導入したことで常に温かい飲み物を飲めて嬉しいです、ホノカです。
12月の小学生クラスでは、来年の干支であるウサギの模写を行いました。1502年に描かれたデューラーの「野うさぎ」を参考に、鉛筆で下書きを行い、水彩絵の具と色鉛筆で着彩をしています。

今回のカリキュラムではリアルも重要なポイントでしたが、もう一つ大事な部分に「構図」があります。
上の写真では3匹のウサギが写っています。よく見てみると、一番左と真ん中のウサギは同じサイズで、右だけ小さいサイズのうさぎになっています。
左ー紙を縦にした為、ウサギの全身が紙の中に収まっている
中央ー紙を横にした為、耳と前足の先が切れてしまっている
右ー紙を横に使用し全体を収めようとした為、ウサギ自体を小さく描いた
「ウサギを描いてください。」と言われた時、皆さんはどのような角度からウサギを描きますか?恐らくほとんどの人は横から見た姿を描き、正面に近い角度から見た姿を描く人は少ないでしょう。一番簡単に描けますしね。
動物は横から描くもので、胴体は横に長いから紙を横向きに使ってしまう「固定観念」が強くあります。実際に生徒たちに見本として配った写真は、あえて正方形にトリミングしたものを渡しましたが、全員『画用紙を横』に描き始めました。さぁ皆さんは、下の写真を模写する際、長方形の画用紙に描き始めるとしたら、縦で描きますか?横で描きますか?

絵は構図が命になります。どんなに対象物が上手く描けていても、構図が悪い時には、勝負の土俵にすら立てず採点不可となります。学生クラスでも美術系の学校を目指してデッサンを描く生徒に、ノリ先生がこの言葉を掛けている光景を幾度となく目にしています。それくらい構図は重要なものなのです。
今回のウサギを通じて固定観念だけで「動物は横に長いはず!」と決めつけるのではなく、その絵にとって一番良い構図はどれなのかと考えるキッカケになればと思います。締めの様な文章を書いてしまいましたが、ポイントはまだありますので、そちらもご紹介します!

先程も言ったように動物は横に長いという思い込みは、見本をカンニングしても影響してしまいます。そのため、ウサギを描き始める際はまず顔と体の『あたり』を取ってからスタートしました。デューラーの絵ではウサギを斜め前の角度から見ています。そのため頭が体とほとんど重なっている状態になっているのが分かるでしょうか?(上の写真左)この時に頭と体の重なりが少ないと、横から見た動物になってしまいます。体と頭を描いたら、目鼻や毛並みなどの細部に取り掛かる前に、一番の特徴となる耳・前足・後ろ足も場所を決めましょう。

とは言っても「斜め前から見ているから、頭と体が重なっていて、体が短い」という理屈は分かっても、なかなか絵に反映できません。そこで上の写真にあるように、頭の大きさで体の長さを測ってみると、体の長さは頭2個分も無いくらい短くなっています。自分の指も横からみると長いけれど、爪を目の前に指さすように見るととても短いという様に、体の長さに気をつけて、正面に近い角度から見たウサギを描きました。

今年の4月のカリキュラムで、動物のイラストを描いたことを思い返しましょう。テキストを参考に、体の角度が違う動物にも挑戦して、様々なバリエーションに富んだ絵が描けるようになって欲しいです。今回の授業を思い出しながら卯年のお正月に改めて描いてみてください!


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