モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

色彩で更に魅せる遠近感

2024-04-18 23:57:26 | 大人 油絵・アクリル


大澤 油彩

マユカです!今回は大澤さんの作品をご紹介します。

イタリアの南部にある白がベースの三角屋根のお家「トゥルッリ」という名前の家々が世界文化遺産に登録されているアルベロベッロを描いたこちらの一枚。1500戸ものトゥルッロ(複数形を「トゥルッリ」)が並んだ景観はまるで絵本の中の世界のようにかわいらしく、談笑しているような雰囲気のある中央の人物たちの元へ小さな動物すらやって来そうなファンタジー感に胸が躍ります。大澤さんが旅した写真を元に制作されました。
落ち着いた色合いの家な上、漆喰や石を積んで作られていそうな質感が自然によく合い、様々な植物が街並みに色どりを加えています。写真は勿論美しいでしょうが、この暖かさは絵にすることで一層輝きますね、ぽってりとした油絵具の厚塗り感が風景の雰囲気とベストマッチしています。さらに壁も単純に白いだけではなく光によって落とされる影の色の差によって前後感を表現されていますね。手前は黄色を多めにし明るい印象を与え、奥は青をベースに描くことで植物の涼し気な雰囲気まで感じさせます。

色の特性として寒色(青、緑、紫等)は奥に配置することで遠くを強調、暖色(赤、オレンジ、黄色等)は手前に配置することで、前にあることを強調してくれる効果があります。大澤さんの作品では白い壁にそれがされているので遠近感をより強く感じました。だからこそ、見えない画面外へと続く風景も想像できそうな雰囲気があります。さらに2、3軒ほど家が連なっているのかもしれませんし、植物を挟んで道が続いているかもしれません。とにかく、絵の奥へ奥へと歩いて行けそうですよね。

こういった平面に風景を描く時、かなり忘れられがちになってしまうのは画面外に続く「描かれない風景」ではないでしょうか。キャンバスの中で完結してしまいがちな風景ですが、その周りの風景を脳内で補完できてしまうほどに空気感を表現することが出来たら、それは見た人の感情を動かす一枚になるのかもしれませんね。


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