モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

作者の目線の違いを

2024-04-19 22:19:53 | 大人 油絵・アクリル


香月 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは香月さんの油彩作品です。2枚ともご家族(お孫さん・奥様)の写真を元に描かれています。

左の作品は水族館に遊びに行った際の風景ですね。お孫さんが差す指の先には、宇宙のように水と魚たちが広がっており、2人がはしゃいでいる声までもが伝わってくる1枚です。子供らしい、小さなおてても可愛らしいですね。水槽の水は油絵の特性を活かし、美しいグラデーションを作っています。それにおり、画面に奥行きが感じられますね。画面上部から水を通過した光が子供達に当たり、逆光となって描かれているのもより一層2人の存在が際立つように工夫されています。
右の作品は京都の貴船神社の本宮参道に立つ奥様を描かれています。朱色の灯篭と草木の黄緑、そしてお着物のターコイズカラーが美しい組み合わせですね。特に赤と緑は補色の取り合わせですので、お互いの色を引き立て合っています。間の石階段で無彩色に近いグレーを挟み、画面全体のバランスも整っていますね。奥の木々は太陽の光を柔らかく通しており、奥に佇む本宮を神々しいものとしています。

2枚とも、作者の目線の高さの違いが現れていて面白いですね。1枚目の作品はお孫さん2人を大人が見下ろす構図となっており、2枚目の作品は少し離れたところから記念写真を撮られており、目線の高さが同じとなっています。作品越しに、手前で家族を見守る作者の姿も浮かんでくるようです。

幸せなご家族の1シーンを覗かせて頂けるような、優しく温かな作品ですね。思い出は写真でも残せますが、制作を通じて今一度描き起こされる風景は、作者の心情も反映されたものとなります。こうした作品を鑑賞する度、人々が絵画制作する意味が思い出されますね。次回作も楽しみにしております。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 色彩で更に魅せる遠近感 | トップ | 絵画作品に仕立てる為に »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

大人 油絵・アクリル」カテゴリの最新記事