モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

プレゼントを選ぶような気持で

2024-08-16 02:12:44 | スタッフ講師

アイスに癒される日々を送っています、カサネです!ミオスには中学生から高2の冬まで学生クラスに通っていました。また高校生になってからは小学生クラスをお手伝いをしていましたが、美大受験のために1年間お休みしていました。第一志望の武蔵野美術大学視覚伝達科に無事合格し、今年の春からまた小学生・学生クラスの担当をしています!
美大受験を経て、ミオスへの気付きがありました。今回は私の受験期の話を自己紹介として綴らせていただきます。

私は中学3年生の頃から高校受験対策のためミオスでデッサンを学び初め、高校でも授業と部活で描き続けていました。なので志望大学の多摩美・武蔵美の受験科目で「デッサン」が必要だと知った時は慣れの安心感を感じていました。
しかし実際の美大受験のデッサンは私が考えていた「基礎」からずっと進んだ「応用」で勝負するものでした。
私は多摩美のグラフィック学科、武蔵美の視覚伝達デザイン学科を軸にデザイン情報学科、情報デザイン学科、東京造形のグラフィックデザイン専攻を受験しました。

私は美大受験生になって初めて「デッサン」の中にもちゃんと違いがあることを知りました。
多摩グラは「想定デッサン」という、頭で考えて構成し「演出」するデッサン。
武蔵視デは「静物デッサン」という、モチーフをよく観察して「空間」を切り取るデッサン。
道具は同じなのに、内容も求められる完成図も全部違い、困惑していました。

今思えば、ただ基礎から派生しているだけであって、そんなに動揺することでも無いんです。でも当時の私は「違い」に目が行きすぎてしまっていました。
各科の違い、求められている像への理解、時間配分、メッセージ性、たくさんの知識に気を配りすぎて、受験で描くもの全てが「作業」になってしまっていました。伸び悩んだ冬頃、先輩方の「ミオスに顔を出すといい」という言葉をふと思い出して、小原先生やナツメ先生方に会いに行きました。オレンジ色のほっとした安堵感と共に、壁に飾られた生徒さんの幅広い作品の数々、楽しそうに絵の具を動かす筆の音が聞こえ、「絵を描くのが楽しい!」という感情がが自分の中にじんわり帰ってきました。そんな空間で小原先生、ナツメ先生と話す中で、どれだけ行けども私が描いているのは「作品」であって「作業」じゃない。と受験に対する見方が変わりました。技術面、精神面ともに貰ったアドバイスを受け、その日は家に帰りました。次の日からの受験の日々は一味違いました。「作品を作っている」という意識は、同時に私に「作品づくりの楽しさ」を思い出させてくれました。
もちろん内容も、求めらている像も、それぞれ違います。でもそれは「友達それぞれに合った誕生日プレゼントを選ぶような違い」なのだと思い始めました。

苦しく、大変だったのは変わりません。それでも試験本番、緊張しながらでも「楽しく」作品が作れたのは、あのミオスでの数時間があったからこそです。
ありがたい事に、受けた学科は全て合格しました。私が包んだプレゼントを、みんな喜んでくれたのだと思っています。

この感覚は、受験が終わりミオスに帰ってきて、子ども達の好きに気持ちよく絵の具を伸ばす姿や、生徒みなさんの個性溢れる作品づくり、また先生・先輩方のいつまでも挑戦し続ける姿を見て、確固としたものになりました。
まだまだ未熟者ですが、私が感じた「美術は楽しい!」という気持ちを皆さんにもたくさん感じて頂けるよう努めて参ります。
これからもどうぞよろしくお願いします。

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