モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

嵐の前の静けさ

2022-11-25 21:53:10 | 大人 油絵・アクリル


小川 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは小川さんの油彩画です。嵐の前触れのような荒れた海と怪しい空模様は、初めての油彩ではずいぶん難しいテーマだったかと思います。

右奥から左手前にかけて段々と暗くなっていく空模様と、波打つ水面が不穏な空気を作っています。エメラルドグリーンが透ける様な水面が美しいですね。油彩は同じ色を単調に塗るよりも、近似色を筆跡を残す様にのせていく事で色の深みを出したり質感を表現する事が可能です。観る者の不安を掻き立てる様な荒れた水面も、これらの仕事によって作られているのでしょう。手前は重い色を乗せた反面、奥にはしぶきによって白くなった波が明るい色で作られています。この明暗のメリハリによって、画面全体が引き締まりました。作品に物足りなさが感じられる場合は、明暗差によるメリハリがない鈍い画面になっている場合がありますので、困った際には明暗差を意識してみると良いでしょう。

陸地にずらりと並ぶごつごつとした岩肌の質感も、絵の具をたっぷりとのせ凹凸によって表現しています。グレーの中にも黄色や青を混ぜる事で無機質になりすぎない様に工夫が見られます。手間の波や岩肌が立体的に作られている反面、奥の森はやや平面的に描かれていますが、その中には様々な色が含まれており、沢山の色の響き合いが魅力です。

空の方は海と同じ青色でも、より深い青色によって重い雰囲気が作られています。上からのしかかれる様な湿った空気。目に見えないものを表現するのは難しいものですが、小川さんのこの作品は左から右へと重くなっていくグラデーションによってそれらが作られているだと思います。

暗い雰囲気の中でも、絵の具の美しい色が覗く魅力的な1枚となりました。次の作品も油彩を描かれていますが、どの様な仕上がりになるのか今から楽しみです。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 学生立体録その3 | トップ | これ、命のある人間だなぁ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

大人 油絵・アクリル」カテゴリの最新記事