モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

テーマ性と知識量

2022-06-23 19:50:12 | 学生


健一郎 高3 カラメル色素・チャコールペンシル・コンテ・パステル

梅雨も明けそうですね。少し早いですが夏休みがもう楽しみなマユカです!今回は健一郎の作品をご紹介します。

インドネシアに日本で引退した電車の車両が売られ、貨物列車として第二の人生を歩む姿を描いた一枚です。家と家の狭い道をゆっくりと走って行く電車が通る線路は建物にかなり近く、ぶつかってしまいそうなほどのギリギリさになんだかひやっとしますね。茶系統の色でまとめ、スケッチのような風合いで細かいところまで描くことによって、ジャカルタのスラム街の荒廃具合やほこりっぽい空気、整備が行き届いていないような雰囲気が強く伝わってきます。デッサンがしっかりとしており、地面の陰影のつけ方は奥から手前に向かって明るくなり、逆に一番向こうの空は明るく抜けているため空間が立体的に見え、臨場感も生まれています。想像力が豊かであれば、映画のワンシーンさながら電車が動いているように見える…かもしれません。

なぜ日本の引退車両がインドネシアに売られているの?とお思いの方もいるかと思います。健一郎曰く、インドネシア政府としては当然自国製を使用したいところらしいのですが、日本製の電車は丈夫で壊れにくいことから、引く手あまたで活躍しているとの事。そんな裏事情を考えながら、スラム街の崩れそうな家と不釣り合いな、未来から来たかのような乗り物の対比がシュールですね。
川崎市美術展の講評で、「テーマ選択に知的さを感じさせる。」と書かれていましたが、今回もまたそのような感じです。(その時のブログはこちら

海外のちょっとした問題をテーマにここまで雰囲気を感じさせる絵が描けるのは、その背景をしっかりと知っているからこそだと思います。知識の数ほど面白い絵が描けるといっても過言ではありません。次はどんなテーマにするのでしょうか。今後の作品がとても楽しみです!

コメント
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