モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

周り回って恩返し

2022-06-19 20:18:28 | 小学生 工作

掃除や片付けの雑用残業バイトは散々しましたが、子ども達の為の残業仕事を初めてしたそーきです。たくさんの気付きがあったので、お話させて頂こうと思います。


左 小学生の授業中 / 右 授業後の裏方仕事中

先日小学生が帰った後、ほのか先生やなつめ先生と一緒に小学生クラス生徒全員のヘッドトロフィーに穴を開け、紐を通す作業をしました。これは、次の授業で配る台座となる板に取り付けるときに必要な作業です。夜中にこっそり靴屋のお手伝いをする、グリム童話『小人の靴屋』の気分ですね!

千枚通しやキリなどの鋭利な工具で128個のヘッドトロフィーの後頭部に穴を開けまくり紐を通す。これをひたすら繰り返す。固い新聞紙の塊に穴を開けるのに手こずり、指先が赤を超えて紫色になりました。
また、長時間作業をしているとモチベーションの上下が激しいです。「もう疲れた...」「やりたくない...」そんな時は低学年の子たちが、「そーき先輩!」と頼ってくれることを思い、あの子たちのためにも頑張ろう!そんなことを考え気持ちを高ぶらせていると、ふと浮かび上がってくる高学年男子のいたずら。上がった気持ちが少し下がります。5時間位で全ての作業が終わった時は、もう疲れてヘロヘロ。やり切った感動より、解放感が勝っていました。

僕も幼児クラスや小学生クラスで授業を受けていた時、先生達は授業準備だけでなく、僕らが帰った後の手直しや難しい作業の代行をこっそりやってくれていたのかと、自分がその作業に触れて初めて知りました。
しかも直した所は生徒にバレない様に、その子の癖や画力・画風に合わせて作業するなど、気を付けることがたくさんあります。こちらの手柄はおくびにも出してはいけません。「壊れていたから直しておいたよ!」では、その子の自尊心も傷つけ、やる気を削いでしまいます。あくまで小人は黒子に徹する必要があります。

グリム童話では、『靴屋は真面目だが貧しく、靴を作る材料は一足分しかない。翌日にすぐ靴を作れるよう、材料を準備してから休んだが、翌朝起きてみると綺麗な靴が出来上がっていた。それが思ったより高く売れて多くの材料が買え、靴を沢山作れるようになった。これが毎晩続き、売れる靴も増えていった。「誰が作っているのだろう?」と靴屋が深夜に様子を伺うと、小人が靴を作っていました。』というお話ですが、もちろん真面目な靴屋は怠け者になったりしません。お礼に小人たちが喜びそうなプレゼントを用意し、それによって小人はもう手伝わなくなりますが、靴屋はそれからも素敵な靴を作り続け繁盛するという結末です。

僕はアトリエでバイトするまで、先生達のお手伝いは全く気付きませんでした。同じように、自分が親になるまで、僕の事を育ててくれた両親の苦労を本当には分からないでしょう。
靴屋のように、庇護や愛情を頂いていたことに気付き感謝できる人間になる為にも、のり先生やアトリエの先輩たちに叱られ怒鳴られ身を削りながら、成長していく必要があるのだなと感じます。まだまだ学ぶことがたくさんありますが、受けた恩をいつか後輩たちに返していけるよう、これからも頑張りたいと思います!

コメント
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