佐藤T 油彩
あけましておめでとうございます。水曜日担当の滝口です。
今日は、水曜日の新年初めての授業で、朝気合を入れてアトリエに訪れてみると、昨年の大掃除でアトリエがピカピカで、教室の中が朝日で心地よく光っておりました。
そんな新たな気持ちにさせられる1日の始まりでしたが、今回は「水曜午前クラスの佐藤さんの作品」を紹介したいと思います。
この油彩画、今日の朝の心地よさのように、朝靄の中で朝日がキラキラと光が射すようなイメージ。細かい描写は施されておりませんが、奥から手前に来る柔らかい空間と、中景の青い色から近景の赤やオレンジの色の変化が、佐藤さんの描きたいテーマをストレートに演出しています。パッとこの絵が何を伝えたいのかということの、根幹となるイメージのみで描かれているように感じます。
僕はじっくりと時間をかけて丁寧に丁寧に細部を描いた作品も好きですが、この絵のように必ずしも細かい部分まで丁寧に描くという目的ではなく、イメージが伝わった段階で終わっているような表現も、とても絵画らしい作品で好きです。
抽象表現主義で、アメリカ人の著名な美術批評家のクレメント・グリーンバーグの批評で「フォーマリズム」というのが有名で、うる覚えで正確ではないですが、絵画性の持つ表面のマチエール感が持つ魅力こそが絵画表現であるとしています。この佐藤さんの作品の中には、そういった絵の具の持つ色彩、流動性、薄塗りから厚塗りまでの様々な表現技法が、画面の中でとても生き生きと表現されているなと思いました。僕が見た佐藤さんの作品はこの作品1枚だけですが、是非もっと他の作品も見せてほしいなと思いました。