
この作品、なんとペインティングナイフオンリーで描きました。
巧みなナイフ使いで油絵ならではのマチエールを作っています。
場所はドイツ、ドナウ川沿いに建つシエナ色(日本ではバーントシェンナと言う名前で呼ばれている。イタリアのシエナ市内建物のレンガの色から取られた赤茶色)の屋根の家々や橋を大胆に表現しています。
細かい部分は描くことができませんので、なんとなくほのぼのした雰囲気になっているところがおとぎ話のようでいいですね。
前回の展覧会では小樽運河を描かれましたし、写真教室の展覧会では多摩川の夜景を撮影されていましたので、きっと水辺の風景が小泉さんの琴線に触れるのでしょう。
今回の作品もナイフの効果で激しい水の勢いが感じられ、川を活かす為にナイフを使ったことが見てとれます。
ペインティングナイフというものは、バターナイフとそっくりで持ち方も使い方ほとんど変わりませんが、当然ながら筆のように思い通りにはいきませんので、細かく描くには相当練習が必要です。小泉さんもナイフだけで描く為に、悪戦苦闘されました。(飄々とした若い男性なので、全くそうは見えませんでしたが。)
ナイフだけで描く表現は、思い通りにいかない歯がゆさを楽しめるゆとりのある方に向いていると思います。我こそはと思われる方、ぜひチャレンジしてみて下さいね!
余談ですが、ペインティングナイフの意外な使い道=銀歯(虫歯の詰め物?)の型どり材を混ぜる時に使います。
均一に素早く混ぜないと使い物にならずテクニックが必要な為、美大の油絵科に来るアルバイト募集で唯一芸術に関係のない掲示が歯科助手でした。(私も学生時代やっていました。ピンクの看護服コスプレが嬉しかったっけ♪)
ナイフ使いが上手くなると、歯科助手としてもニーズがあるなんて!?ただし、ナイフが上手くても絵が上手く描ける訳ではありません。念のため。 オバラ