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モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

水墨画の展覧会

2016-10-26 22:45:59 | 大人 日本画

松岡 『瞑想』 水墨画

水曜午前クラスの松岡さんは、アトリエで透明水彩や日本画を描かれながら水墨画も描く、二足どころか三足のわらじを履いていらっしゃいます。今年も水墨画展に出品された作品が入選されました!こちら伊達政宗の作品は50号の大作です!
和紙に後戻りのきかない墨で描く作業は、時間を掛けることができませんので、描く前に完成図をしっかり思い描き、決意を持って取り掛かる必要があります。そんな覚悟を持ち続ける松岡さんと、穏やかに見えて意志の強さを感じさせる政宗の肖像が重なって見えるのは、当然でありましょう。
金曜日までで終わってしまいますが、入場料が無料ですのでぜひ上野方面にご予定ある方は都美館まで足を伸ばしてみて下さい。

現代水墨画協会主催 第55回記念 現水展 - 新しい水墨画の創生 - 
展覧会期 平成28年10月21日(金)~10月28日(金)
開催時間 9:30~17:30(入場は17:00まで)  最終日入場14:30まで/閉会15:00
場  所 2階 第1展示室 第2展示室

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描かない絵

2016-02-19 22:13:39 | 大人 日本画

出町 左『ハイビスカス』 / 右 『牡丹』 日本画(岩絵具・土・金泥)

ブログの方ではお久しぶりです、大竹です。
今回ご紹介させて頂くのは日曜日大人クラスの出町さんの日本画の作品です。それぞれ違った雰囲気をもっていて、並べてみると面白いですね。
ハイビスカスの方ですが、こちらは花と葉や背景の色の対比がとても美しいです。左上の奥行きの部分も純粋な緑色(ビリジアン)ではなく、エメラルドグリーンを選ばれたのもナイスです!自然な奥行きが出ると共に、よりハイビスカスの赤色が引き立ちますね。他の葉の緑系の部分も、色の選び方がお上手です。ハイビスカスの花びらの重なりや花の脈の表現も良い感じに仕上がっています。
二枚目の牡丹の方ですが、こちらは先ほどのハイビスカスとは打って変わってあえて描き込まず、下絵(骨描き)と荒めの岩絵具の素材感で魅せているのが非常にカッコいいです!
時間をかけてじっくり描き込む事ももちろん大切ですが、逆に沢山描かずに格好良く見せる、というのは大変難しいです。手抜きや未完成に見えてしまったり…出町さんの作品は色数が少ない分、花びらの多い牡丹の線画が墨で丁寧に描かれているので、完成度の高い作品になっていますね。花びらや葉の濃淡のバランスも良くとれています。余白もナチュラルな薄い茶色(小学生クラスの日本画講習会で行った、畑の土から作る水干作りの泥でできた絵具)で塗られているので、全体的に落ち着いた上品な作品に仕上がっています。
普段じっくり描き込んで制作されている方も、あえて描かないで魅せるというのに挑戦してみてはいかがでしょうか?大きい作品ですと難しいですが、出町さんのようにF0号などの小さいサイズならやり易いと思います。

日本画で季節の花をテーマに描かれている出町さん。アトリエの展覧会ではどの様な作品を出展されるのでしょうか?楽しみにしております!
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岩絵具の工夫によって。

2015-08-08 03:49:03 | 大人 日本画
 木村 日本画

土曜日の岩田です。今回ご紹介しますのは日曜日にいらっしゃっている木村さんの描いた日本画です。スケール感がありダイナミックな作品です。これから朝日が顔を出そうとしているその時を捉えたものですが放射状に光が差し込んで来ているところは一番の見せ場と言えるでしょう。
木村さんもこの朝日を描くところに一番の心血を注いでいました。

とは言え私が素晴らしいと感じるところはそこだけではなく、海や砂浜に於いても木村さんの表現力は存分に発揮されていると思います。
空が水面に反射している色が何とも絶妙であり、更には水の透明度も感じさせてくれるところも良いのですが砂浜と波打ち際の描写が何ともリアルに表現されていますね。白く泡立った波、かなり緻密ですね。それでいて手前から奥にかけてスーッと自然な空間がでています。

画面では少々分かりづらいのですが砂浜の描き方もとても工夫されており空間を出したり、単調に見えないように岩絵具の粒子を様々に変えながら表現をしているんです。意識して見てみると手前はざらざらしていて奥にに行くに従って序々にフラットになっているのがお分かりになると思います。
まさかこの絵が0号の大きさで描かれているとは思えない程です。

後は「空」に関して研究の余地はまだまだ残されてるように感じます。「空」は物質で構成されているというより「現象」としてのニュアンスが強いので岩絵の具の粒子を変えて空間を表現することは難しいのではと思われますが今後は「空」の表現をもっともっと追求なされても良いでしょう。
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冒険も良いですよ。

2015-06-13 21:39:10 | 大人 日本画
 石神 日本画(岩絵具)
梅雨の頃、如何お過ごしでしょうか。土曜日の男岩田です。今回は皆さんおなじみ、石神さんの作品です。毎年、春になるとニュースなどでも桜が満開の山を空撮した映像が流れますが、まさしく日本画の題材には持って来いのモチーフではないでしょうか。
石神さん、絵を描く上での力の入れ方を熟知しているなあと感じます。主役となる手前の桜、脇役となる桜を絶妙なバランスで描いています。ひいては、一本一本の桜のボリューム感もしっかり出しておられる。一枚の絵を美しく演出しながらも、ものを的確に表現するという意味では大変秀逸な作品だと感じます。

これだけ技術的にも絵づくり的にも力のある石神さんですから私としてはここから更にマニアックというかチャレンジングな絵を追及して頂けたら嬉しいです。

とても有名な人なので周知の方がほとんどだと思いますが日本画家に明治期に活躍した福田平八郎という人がいます。代表作には「漣(さざなみ)」、「雨」があります。「漣」は水面を描いているのですが一見すると青いにょろにょろ線を描いただけなんですが見事にそれを表現しています。方や「雨」は雨粒のしみの着いた瓦屋根を大胆にトリミングし日本画としてはとても斬新な絵に仕立て上げています。

私は作品を作る上で「こんなことやっちゃっていいのかな」とか「こんなことって果たして表現できるのだろうか」といったようなドキドキ感をとても大切にしています。
皆さんも時には自分の今まで積み上げてきたものをあえて一度崩してみるような、そういった冒険も良いかもしれませんよ。
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泡沫のなかで

2015-01-30 18:32:54 | 大人 日本画
松岡 日本画

雪が降りましたね!私は冬は好きな方なのですが、やはり寒いのには参ってしまいます。

本日ご紹介するのは水曜午前大人クラスより松岡さんの日本画です。
今回は、広告写真をモチーフに艶かしい女性の姿を描かれました。松岡さんは描きたいイメージがいつも面白く、色々なところに目をやってモチーフを探しているのだなと感じます。

女性の顔は、眉や唇の角度からまぶたの様子まで何度も修正しこだわり抜いて描きあげました。唇は特に苦労されたところでこの作品でも見所のひとつでしょう。それから、生え際も中々に大変だったと思います。細かく描き込んで自然な髪の流れが表れています。
恍惚としたような表情も、白い泡に包まれてなんとも美しいですね。背景も鮮やかな色で、上に乗る白い色を活かしています。

実はこの白い泡のような部分は、アルミホイルで白い色をポンポンとスタンプするようにのせていきました。ランダム性と質感が、とても面白い画面を作り出しています。このような技法もすぐに取り入れて、思い切り楽しめるというのは松岡さんの素晴らしい才能だと感じます!いつでも新しいものを模索し、 研究するその姿勢、見習わなければと感じ入ってしまいます。

次は何が飛び出すか!?と、 これからの作品もますます楽しみになりますね。庄司でした。
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日本画といっても様々

2014-11-22 23:19:47 | 大人 日本画
石神 日本画

土曜日になると現れる岩田です。本日ご紹介しますのは石神さんの日本画です。石神さんは富士山とてもお好きなんですね。以前のブログにも「赤富士」ご紹介させて頂きました。
今回の作品「THE富士山」といった堂々たる作品ですね。やはり石神さんは安定感あります。長年岩絵の具を使って描き続けて来られていますから。やはり。
テクニック的にも、既に高いレベルまでマスターしてらっしゃると感じますね。主役の富士山は元より、手前にかかる雲(靄?)の表現にしても空中に漂っているのがちゃんと表現されていますし、色使いも凄く美しいです。空も良いですね。多分、筆遣いが卓越しているのだと思うんです。

先日の展覧会の講評でもご本人の口から何かもっと日本画という枠に囚われない表現をしてみたいといった感じのコメントを頂いた気がするのですが石神さんおそらく現在、そういった表現を画面に投影しようと頑張っておられるのではないでしょうか。こちらの富士山の絵もそういった意味で今までの殻を破りつつ何か探っているのかなと感じております。

私がそういった意味で面白いとな感じる日本画の作品や作家がいるのですがその一人、加山又造です。と言っても私が好きなのは又造が最初期に描いていた絵なのですが「月に犀」、「月に縞馬」などの動物を描いた作品は日本画?といった感じでとても面白いと思うんです。
もう一人は岡村桂三郎です。現在多摩美の教授ですが木の板の上に直接顔料を載せているんだと思います。多分。その板も彫ったりして、何か面白い雰囲気の作品なんですね。

この二人に見て取れるのがやはり、日本画?といった作風です。まあ私自身がそういった所謂、王道から少し踏み外しちゃってる作品が好きだということもあるのですがもしどこかで展覧会などやることがありましたら皆さんも見にいらしてみては如何でしょうか。何かインスピレーションが湧いてくるかもしれません。
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牡丹の花

2014-10-03 10:17:58 | 大人 日本画
Kimura01木村 日本画

着々準備進行中のアトリエです。

本日は日曜大人クラスより、木村さんの日本画をご紹介します。今回は牡丹の花を描かれました。
日本画で花は普遍的なモチーフですが、同時にとても難しいものです。よくぞここまで描かれたと感動してしまいます。木村さんのコツコツ積み上げた日本画の経験、そして毎回地道に進めていく根気強さの勝利です!
繊細かつ緻密な花びらの描写、奥の花のぼかし方にはとても苦心されました。描き込み過ぎてはいけないが、同じ花であると伝えるにはどこを描きどこを省略すればいいのか一筆ごとに考えて色を置いていきました。描き過ぎた時はぼやかしたり他を強くしたりと、持ち前のバランス感覚で描き上げたと言っても過言ではないと感じます。
そのおかげで、中央の牡丹の花びらもガラス細工のように繊細に浮かび上がりました。しかし中心の密で肉厚な描写により消して割れない芯の強さが感じられ、迫力の画面です。
背景のオレンジもじわりと発光するように入って、格好良いですね。抑えの部分の暗い背景も、濃い緑などを使い葉の印象をのせていき、まさに縁の下の力持ちとして画面を支えてくれています。単調にならないように、強弱もとても気を配って描かれました。
今回の作品もじっくり腰を据えて描いただけあって、深みと凄みの伝わる作品に仕上がりました!
この一作、展覧会でもじっくりご覧になってください! 庄司でした。

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静かな迫力

2014-09-12 10:57:21 | 大人 日本画
Matuoka_11松岡 日本画

二年に一度の展覧会の時期が近づいていますね。いつもはブログでしか見られない作品も間近で見てより楽しめる機会ですから、私も今からワクワクしています!


さて本日は水曜午前大人クラスより、松岡さんの日本画をご紹介します。ずっと日本画を描いている松岡さん、今回はテレビ番組で見た骨董品をモチーフに選びました。迫力が伝わってくる格好良い作品です。花器の青を何度も重ねて作り上げたとろけるような色味に釘付けになってしまいます。
 
松岡さんは、直感でこれを描きたい!と思ったものを、どんどん取り込んでいるのが感じられます。感覚を広く開放してキャッチしているのでしょう。描きたくなるのも、楽しく(時に苦しく)描けるのも心を動かされたからこそ。そしてそれを作品の画面上でしっかりと伝えるには技量が必要です。そう言った意味でもこの作品、素晴らしいですね。松岡さんがどこを気に入ったのか、言葉でなく作品で物語っていますものね。展覧会にも出品されるので、ぜひ間近でご覧下さい!  
 

Matuoka_12そして今回の作品も、中々劇的な途中経過でしたのでちょっとご紹介。
はじめは透明水彩で青や緑を垂らしこみながら描き進め、その後胡粉や顔彩、岩絵具とかけて深みを出していきました。薄い緑やターコイズっぽい色味に瑠璃色…とこの青の変化も、見れば見るほど美しいですね!下地には最終的に赤一色の背景にするため、緑と黄色をダイナミックに使っています。これぐらいの色を下に仕込んでおくと、赤い背景もナイフで削りだしてチラリと黄を覗かせる…なんてテクニックで鮮やかに迫力を増してい見せられますね。赤と青の対比で花器の色も眩しいほどに鮮やかです。


ちなみにこんなに凄みのある作品なのですが、描き終わった後の松岡さんの、やったー!終わったー!の声は、まるで夏休みの宿題から開放された少年のようでした。そのギャップがなんともおかしくて毎回楽しみにしている、庄司でした。

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紅く燃ゆる

2014-07-11 23:32:57 | 大人 日本画
Isigami_10石神 日本画

神奈川は台風が過ぎ去り、日中はピーカン晴れの金曜日でしたね。暑さにバテてしまわないよう気を引き締めてまいりましょう!

さてさて、皆さん続々と制作中である展覧会用の0号、またまた完成作のご紹介です!水曜午前大人クラスより、石神さんの日本画の作品です。

今回石神さんの描いたのは赤富士。今までのきっちり描き込む真面目な絵ではなく変わりたい!ということで、下描きを何枚もコピーしてどんな色調で描いていくか計画を立てました。デザイナーの作品集を見てみたり…思い切って違う色をおいてみたり…。そうして描いた中から、赤が特徴的な案を選び制作開始。
水干絵具の牡丹というビビッドなピンクを下地に、画面下部の暗い部分には茶を入れたり青を入れたりと試行錯誤し、一番美しい色の組み合わせを求めて色合いも何度も変わりました。そうして最終的に、ほぼ赤で構成された画面が目を引く格好良い一枚になりました!

峰や稜線の描き方には石神さんの細かく描き込む技が注ぎ込まれ、石神さんの『らしさ』があふれながらも新しい表現に到達できたのではないでしょうか。山裾のにのせた青などの粗い岩絵の具が、じんわりと溶けこみながらもアクセントとして深みを増しています。

また今回は、サインも拘りました!1時間、2時間くらいかけたでしょうか?上手くいかなければ消してもう一度…、と、諦めず妥協せずに仕上げました。その甲斐あって、画面をピッと引き締めています。赤富士を見上げる蛇のようにも見えて、威風堂々とした佇まいの中に少しユーモラスさも入り、より魅力的になりました。0号という小さいサイズに苦戦されていましたが、今回の構図、色彩共に、そのサイズを活かした作品に仕上がったと感じます。

展覧会の際には皆様是非間近でじっくりご覧下さいね! 庄司でした。

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揺るがざる

2014-06-06 11:37:00 | 大人 日本画
Matuoka_10松岡 日本画

梅雨入りとともに、大雨の金曜日でしたね。でも今年は長靴を買ったので、ちょっと強気にいけそうです!

さて本日は水曜午前大人クラスより、松岡さんの日本画をご紹介します。

今回は、完成まで5ヶ月かけた大作!日本の靄ががった深い山の風景を描かれました。松岡さんは、テレビで気になった景色やモチーフを写真に撮り、それを元に描かれることも多いのです。今回もそうした一枚ですが、映像を見ている瞬間にそこから受けるイメージを脳裏にじっくり焼き付けて、感動を味わっているからこそこのように描けるのだろうなぁと感じます。

今回のように空間の多い景色は、日本画歴の長い松岡さんでも苦労されたと思います。でも持ち前の好奇心と探究心、何より実力で素晴らしい仕上がりになりました!湧き上がる靄の色彩、タッチや粗い岩絵の具をどこに置くか…など、見所がたくさんあります。岩絵の具をのせた後も、そこからナイフで削りを入れたりと、細やかに神経を配り描かれています。こうしたなんとも言えないとろけるような色の重なり合いは、日本画の十八番ですね。

下書きとなる骨描きの後も何度も墨をのせ、その上から暗い青の絵の具をのせてじんわりと染み込むような木々を描きました。この岩絵の具と墨の重なり合いと使い分けが素晴らしいです!手前の木々は赤やピンクなどの暖色系、奥は青を入れて空間を演出しています。

そして、大きな風が湧き靄が舞い上がる中で、ひっそり静かに揺るぎない存在を主張する一本の木。この配置も今回のこだわりどころです。画面全体が動の気配のため、この木の静がより際立っています。時代とともに移りゆくものと変わらないもの、というようなまさに大河小説のようなイメージも想起される、重厚な一枚に仕上がりましたね!


なんて、大人の迫力のある作品を作られる松岡さんですが、結構お茶目でも…あるんです。今回の作品でも、岩絵の具を盛った後で削って微妙な表現をしているのですが、興に乗ると止まらない!ガリっと和紙まで削れちゃったり!?いけね、怒られる!なんて、こっそり見つからない内に修復している姿なんてまるで少年のよう。楽しんで描いているのが伝わってくる作品は、やっぱり作者にも遊び心と楽しみが溢れていますよね。その人の『らしさ』を、絵から想像するのもまた楽しいものです♪  庄司でした。

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可憐に開く

2014-05-09 22:38:16 | 大人 日本画
Isigami_09石神 日本画

本日は、水曜午前大人クラスより、石神さんの作品をご紹介します。
ブレイクスルーしたい!と燃えている石神さん。桃の花も、今までとは違った構図でタッチも変えて描きたい…とのことで、今回は金のボードに枝も大胆に配置しました。

バックの枝は薄く朧げに、手前の枝は思い切り墨をのせ、桃の花は繊細に描き込む、メリハリがついた作品に仕上がりました。細かく描き込む部分を限定したことで、荒いタッチと対比され、桃の花の花弁がより薄く可憐に映るのです。制作している時はどうしても部分部分に集中してしまいがちですが、そこをグッとこらえることが重要です。

金色も美しく見えます。墨で描いた太い枝にさらっとのせた緑も、やりすぎないよう気を付けたのでさりげなく作品に色を添えています。

そしてなにより、桃の花の描写が素晴らしいですね!花はとても難しいモチーフで苦労されている方も多いと思いますが、石神さんは楽しみながら心のままに描かれているように感じます(細かい描き込みなども光ってます!)。白も要所要所、目を惹きつけたい花にだけうまく使われています。淡桃色の表現、立体感や花びらの透ける様子など、観察と根気の賜物です!このように纏め上げられた石神さんの実力がひしひしと伝わってきます。
桃の花が風に揺れる瞬間も想像できるような、飾った場に暖かい風を運んできてくれる一枚ですね。

ちなみに幼児クラスで以前行ったカリキュラム…こちらは桜ですが、偶然性を強く押し出した作品。作品作りに悩んだり、ちょっと今までと違うことがしたいなぁという時はこのような試みも、面白いかと思います。

それにしても、終わったばかりの春が恋しくなる、日本の春の美しさが表れた作品ですね! 庄司でした。

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火の鳥

2014-04-11 21:30:46 | 大人 日本画
Demachi_01_2出町 日本画

大分暖かくなりましたね!
本日は日曜大人クラスより、出町さんの日本画をご紹介します。なんと、一年かけて描き上げた力作です。

コツコツと描き上げた、この見事な羽根は圧巻の一言! 羽根の目玉のような模様部分も、色を薄く重ねて玉虫色の何とも言えない表現がなされています。こんなに羽根も多いので、なかなか終りが見えず辛いなぁという声も出町さんから出てきていました。しかし背景に黄~オレンジのグラデーションを入れた途端、パッと画面も引き締まり完成のが見えました。その後は素晴らしいスピードで、あれよあれよのうちに完成!
背景の補色のオレンジが瑠璃のような目の覚める青を引き立てています。身体の部分は繊細ながらも大きいタッチでのせたことで、より羽根の薄さ、細やかさが強調されたように感じます。

授業中にもふらりと自主休憩をとる出町さん(あれ、いつの間に!?なんてこともしばしば…)。そんな風に、作者に気負いすぎず力の抜けた部分があるからでしょうか?そのまま描くとかなりギラギラとしてしまいそうな孔雀というモチーフが、厭らしくなく、それでいて迫力のある画面に仕上がっているのが素晴らしいです。

孔雀は邪気を払うといって縁起がよくお守りなどにもモチーフとして使われるそう。毒のある虫や蛇などを食べることからそのように言われているそうですが、毒すら取り込んで美しく羽ばたき羽根を誇示するその姿、凄みも感じてしまいますね!出町さんのこの作品からも、まさにそんな迫力が伝わってきます。燃えるような情熱が溢れだす、優雅さだけではない魅力がある作品に仕上がりました。

さて出町さん、現在は漆製作中ですが、その次はどんな作品になるのだろう…?と、今からワクワクしてしまいます! 庄司でした。

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枝垂れ桜

2014-02-08 00:01:03 | 大人 日本画
Isigami_08石神 日本画

これから更に寒くなるような予報もありますが、桜の花を見ると、気温の綻んだ頃の暖かさを思い出してしまうのは日本人だからでしょうか。

本日は水曜午前大人クラスより、石神さんの日本画をご紹介します。
海外赴任の旦那さんのリクエストということで、和の心あふれる桜を描かれました。幽玄さと柔らかさを備えた枝垂れ桜です。

この作品は、背景の緑が素晴らしいですね。桜の薄いピンク色がたまらなく美しく見えるのはこの緑あってこそ!黄土を地に何重にも重ねた色の層に、溶けるように重なる花が見事です。花の透け具合や濃淡も何度もバランスを修正し仕上げました。大小のタッチを使い分けて垂れる花の流れを表しています。そしてそれを支える幹の質感と重量感が、儚いだけでない迫力を与えているのですね。地面はさらりと大きめ淡めのタッチで描いたことで、ゴツゴツと黒い様子がより強調されています。

日本画で桜ですから、思い切りベーシックなモチーフをどのように解釈し仕上げるかというのは腕の見せどころ。今回の作品では枝垂れ桜そのものの美しさだけでなく、それを見るものの心象風景、日本人が桜から受けるイメージなど、シンプルな構成の画面に詰め込んであるように感じます。正にこれまで描いてきた日本画の集大成とも言えるこの作品。緑が美しく、日本画っていいものだなぁ、としみじみ感じさせてくれますね。


細かいタッチで描き込む画風の石神さんですが、次回作はブレイクスルーを狙い新しい画風にも挑戦中。これは期待が高まります!! 庄司でした。

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紅い参道

2014-01-31 22:11:15 | 大人 日本画
Matuoka_09_2松岡 日本画

いつまでもお正月開け気分でいたのですが、気づけばもう節分が間近に迫っていました。うーん、年々時間がすぎるのが早くなります…。

さて本日は水曜午前大人クラスより、松岡さんの日本画をご紹介します。
紅葉が鮮やかに目に飛び込んでくるこの作品。京都光明寺、薬医門の紅葉をモチーフに描かれました。ちょうど秋頃に描き始め、昨年末に完成。なかなかスピーディーに、勢いに乗って描き上げられたように思います。

赤と朱と黄色、オレンジにピンクと暖色が作り上げる色の層が美しく、風に揺れる葉の音まで聞こえてくるようです。緑と赤の対比でより紅葉が鮮やかに映りますね。門と木々の黒が一面の紅葉を引き締めています。色を載せる際、今回も松岡さんはスポンジの表面を毟ってポンポンと絵具をおいていきました。そのランダム性が画面をいきいきと自然に見せています。

こう良い作品を見ていると、欲が出てきてしまうのが人の性。葉の重なりや裏の光の当たらない所に思い切って暗い部分が出てくると、より空間が強調されて美しい作品になると感じます。が、明暗は水墨画で得意な松岡さんなので、今回のこの色は鮮やかさを重視したからこそかも…。何を主題として見せるのか、そのためにどういう嘘をつくのかなど、作品を作る際に考えることはたくさんあります。

この作品が完成して、とりあえず展覧会用の作品一枚は用意出来たので一安心!と松岡さんおっしゃっていたので、今年の生徒展覧会でぜひご覧ください。季節も秋にぴったりで計画的、素晴らしいですね(み、見習わなきゃ…)。次回作も着々進行中。ますます楽しみです! 庄司でした。

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駿馬

2014-01-17 00:10:00 | 大人 日本画
Kimura_01木村 日本画

小学生と幼児クラスのカルタ取り、みんな熱中しすぎてそのパワーであてられちゃいそうなくらいでした!


さてさて本日は日曜大人クラスより、木村さんの日本画をご紹介します。

先週、日曜クラスの年賀状用の作品をずらりご紹介しましたが、実はもう一作品完成していました。しかもなんと、去年の夏から半年かけて描いていたという気の入りよう!素晴らしい準備の良さに脱帽してしまいます…。
年賀状に間に合わないかも!なんておっしゃっていましたが、滑り込みで堂々完成!

この一目見て格好良いなぁと唸ってしまうようなこの作品。ハードボイルドな大人の魅力を感じますね。
木村さんは日本画をやられる前に油彩を描かれていただけあって、日本画ながら油彩らしさが感じられると思いませんか?実際よりも黄味を強くした馬の身体も力強さと荒々しさが伝わってきます。巻き上がる砂塵も、あえて下地にピンクの岩絵の具などをのせてよりリアルになっています。ここは、日本画ならではの表現で、モチーフとのマッチがとても面白いところでもあります。
今回の様なシンプルな背景は実力がモロに現れ間を持たせるのが難しいところですが、そこも美しいグラデーションで光を表現されています。
馬の身体が目を引きますが、タテガミの描写も素晴らしいのでぜひじっくりご覧下さいね!

しかし、木村さんの用いる色彩を見ていると、やはり油絵も向いているのでは!?と、久し振りに油彩の作品も見たくなってしまいますね。今年もますます期待が高まります! 庄司でした。

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