晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

M42を横切る飛行物体の正体は‥

2008年01月15日 | 宇宙開発
昨日の続き‥

M42の写真に写っていた光跡はいったい何か‥?
光跡がノイズやゴーストという可能性もありますので、
直前に撮影した写真を確認してみましょう。

21時20分から37秒露出

こちらにも写っているので、何らかの飛行物体であることは確かです。

この写真の前に撮影した画像にも光跡が写っていました。

21時17分から122露出

明らかに人工衛星です。
撮影時刻が分かっていますので、ステラナビゲーターで
調べれば人工衛星の種類が判明するはずです。
調べてみましょう。

ふむふむ‥MTSAT-2とあります。

MTSATは気象衛星「ひまわり」のはずです。
そうです。これは静止衛星だったのです。

正確に言うと、現在天気予報で活躍しているのは
MTSAT-1R「ひまわり6号」で、こちらは予備機の
MTSAT-2「ひまわり7号」です。

全長 約30m 重量約2,400kg  2006年2月18日打ち上げ

MTSAT-1R「ひまわり6号」は東経140度の赤道上空35800kmにおります。
MTSAT-2「ひまわり7号」は東経145度の赤道上空35800kmにおります。
ですから、地上から見るとほぼ真南の空にとどまって
光っていることになります。地上から見る静止衛星は動いていないのに
なぜ、写真の中では動いているのでしょう?‥
その答えは‥もうお分かりですね。
動いているのは背景のお星さまです。日周運動で動く星を赤道儀が
追尾しているので、静止してる衛星が相対的に動いて見えたのです。

撮影した時刻が、偶然にもMTSAT-2の後ろをM42が通過する時間だったのですね。

考えてみると、35800km離れたところを飛行している、
たった30mの大きさの衛星に反射した光をカメラが捕らえた
わけですから、なんとも不思議な話ですね。

しかし、いつもこの場所にいるわけですから
星の写真を撮ることを考えると、ちょっと「おじゃま虫」
ですね‥

実は、以前、望遠鏡で星団を観望中に視野の中を横切る
MTSAT-2を見たことがあったのです。それは望遠鏡で見ても
かすかな光で‥、高速で移動する小惑星なのでは、と
思ったほどです。そのとき調べてMTSAT-2と分かっていたので
今回はすぐに、何らかの静止衛星かな? と思っていたのです。

夜空を見ていると、さまざまな出会いがあって楽しいですね!