アメリカは独立してから高々二百四十年の若い国だ。原住民のインディアンにとってはとんでもないということにはなるのだろうが、世界の歴史ではそう言わざるを得ない。
経済的にも軍事的にも世界最強であるのだが、若い国のせいか成熟には程遠く、今は思いがけず瓢箪からトランプという人が出てきて世界をかき回している。これからどうなるか予断を許さない危うい状況が生み出されてしまっているのだが、それはさておきワインズバーグ・オハイオなのだ。それ何処といかにもありそうな町の名前だが、架空の町なのだ。オハイオはおはように似ているし日本企業が進出していたので日本人には比較的なじみのある州名だろう。しかしこれは英語由来の名称ではない。
アメリカの地名には北海道のアイヌ由来と同じようにインディアン由来の地名が多く、何とも言えぬ響きがあり様々な感興を呼び起こす。インディアンの贈り物でもあるしそれを踏襲した人達のフロンティア精神に触れる思いがする。勿論、移民が故郷を偲んで付けたニューヨークのような地名も多いのだが、そうした地名が混然と散らばっているのはアメリカの歴史を象徴していると思う。当たり前かもしれないが、アメリカには日本人がよく知る大都市を五六十キロ離れれば、なにそれというような地名が溢れ出てくる。オカボシ、ナンタケット、ポンドーサ、イリーカ・・・などなど英語とは違う響きが米語に彩を与えている。
アメリカの州や街、否日本の県や市町村、中国の省や街の由来や歴史にも興味が尽きず、地図を眺めて分け入れば人生が三つあっても足りない感じがする。敬愛する猿谷要先生の旅行記を楽しむ所以だ。