駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

百戦錬磨?お爺さん

2015年04月15日 | 診療

              

 風雲雷雨担当の神様は誰だったかな、どうも雨を溜めた池の底に穴が開くいているのではないか、四月に入って雨が続き、青空を見たのは二三日しかない。

 Kさんは96才、杖こそ突いているが頭というか口は達者だ。七十過ぎの息子さんを小僧扱いして威張っている。つい先日一人住まいは危険だからと東京郊外から当地へ引き取られてきたらしい。発信の方は当意即妙なのだが、補聴器が外れても知らんぷりなので受信が芳しくない。足が浮腫んでいるので、「食事は摂れていますか、何でも食べますか?」と大声を張り上げて聞く。

 「按摩の笛・・・」と答えられる。べらんめえのせいか聞き取りにくい。「いや、按摩の笛以外は何でも食べるって言ってるんですよ」と息子さんが解説してくれる。按摩の笛以外、へえーそういえば聞いたことがあると感心してしまう。胸部X線写真で恐らく高血圧が関係している心不全兆候が認められた。降圧利尿剤とアルドステロン拮抗薬を少量出して、四日後に再受診して貰うことにした。貧血や心腎機能を確認するため採血もオーダーする。

 耳が遠いので声が大きい。採血して貰うのに、「若くて綺麗な看護婦さんだ・・」と褒めているのが聞こえる。えっ誰が採血当番だっけと耳を疑ってしまう。勿論、96才から見れば四十過ぎの大年増も、当然若いわけだが。採血を終え、受付に向かいながら「お綺麗な看護婦さんばかりで」と声を掛けてゆく。不思議なことに杖を突いた96才のお爺さんにでも褒められると嬉しいらしく、喜んでいるのがなんとなく伝わってくる。

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戻ってきましたね

2015年04月14日 | 人物、女

         

 黒木奈々さんが国際報道に戻ってきた。顔はすっきりしているがかなり痩せられて、未だ本調子でないようにも見受ける。仕事復帰は総合的に判断された結果で大丈夫と思うので、ようこそと喜びたい。

 健康の有り難さは、失って初めて実感されるものだ。我々は当たり前の日常がなんと素晴らしいものかに気付かず生きている。頭重、咳痰そして鼻水のような風邪症状でも、誠に不愉快なものだ。まして長期休養を要する病気では胸塞ぐものがあったろうと想像する。

 どうぞ恵まれない人達や不運な人達にも目の行き届いた報道をとお願いしたい。それはNHKの仕事だったはず。

 国際報道では揺れ動く世界の動きが伝えられているが、国内は統一地方選挙が終わっても鎮静というか沈滞というか、奇妙な穏やかさ?に覆われている。それにはマスコミの報道姿勢が大きく関与していると思う。物事の軽重を判断するのを放棄した、単に耳目を集めるのに重点を置いた報道姿勢が蔓延し、受け手側も受け身で戦争の危険性までをも絵空事のように見聞きしているように見える。

 粛々、我が軍、トリクルダウン・・と言葉を封印する手法に切り込んだ粘り強い報道をと願うのは無理な希望か。

 

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長に据わる人

2015年04月13日 | 小考

             

 学界でも会長選びとなると政治的な力学が働いて、定番の人そして持ち回りというメカニズムが存在するようだ。学問的実績よりも長としての能力と安定性が第一のようで、学問的実績は個人よりも教室の力量が問題になるらしい

 日本的な減点方式もあるようで学問的実績があっても斬新であまりに革新的なことを言う人は煙たがられる。そして卒業大学や年次も基準の一つになるようだ。

 学会の幹部になったことはないので、外から見ての推定だが概ね間違いはないだろう。いくつかの例外はあると思うが、こうした政治力学は数百年変わっていないような気がする。おそらく外から見えにくい公明党や日本共産党でも似たようなものではないかと想像する。

 正直なところ、医学会総会や内科学会総会は集い医学の現状の一端に触れることに一番の目的があり、朝から晩まで講義や講演を聴いて貰おうという所に主眼はないようにみえる。日本的な一丸となって医療を担う実感を味わい最先端の医療に触れたあとは仕事を離れ、今回であれば京都の町も楽しんで貰おうという大人の配慮が感じられた。こうした運営方法は幅広い参加者を集めるのに有効で、おさまりのよい会長が欠かせない。

 

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奇遇というものがある

2015年04月12日 | 身辺記

               

 医学会総会と日本内科学会総会が京都で同時開催された。土曜日診療を終えてから家内と出かけた。京都国際会館と都メッセはかなり離れているのだが、どちらにも二時間あまり滞在して出席点数を戴いてきた。学会といっても総会はお祭りというかイベント的な要素も強く、講演内容はそういうこともあるだろうな、成る程其処まで進んでいるかといったものが多かった。

 土曜の夜は食べログで捜したイタリアンで食事をした。前菜を食べていると、高年の夫婦連れが入ってきた。男性の方は見たことがある、髪の毛が薄くはなっているが、「なんだ、おいKじゃないか」と声を掛けた。「ああ、なんだSか」とフラウを紹介しあい暫し歓談した。学生時代、特別親しいわけではなかったが、高々百名程度の同級生なのでよく知っており旧交を温めることができた。先に店を出たのだが、別れ際固い握手をしたことだ。

 しかし田舎者だった二人が花形イタリアンの店で出会うとは、正に奇遇だった。

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行方、褌を締め直せ

2015年04月11日 | 趣味

      

 霧のような雨の中を出勤してきた。患者さんは梅雨よりもよく降るとあきれている。先日、北関東では桜が雪化粧した所もあると聞く。明らかに異常なのだが、どうも人間は異常にも直ぐ慣れてしまう。診察室のレベルでは変ですねでお終いになっている。

 天候というのは非常に複雑な現象なので、説明しきれない捉えきれないところはあるが、決して何にも分からないわけではない。複雑に絡み合った糸を手繰れば、何某かの原因が明らかになるはずだ。利害が絡むと不都合な真実は明らかにさせないという力も働くようで、雲行きが怪しくなるのは遺憾。

 第73期将棋名人戦第一局は史上最短手数の六十手で羽生名人の勝ちになった。これでますます詰まらなくなった。行方ファンには悪いが二勝のハンデを付けて五分の手合い、次行方が負ければ、名人戦は終了と言っていいだろう。第一局は、折角の先手番なのに、力んでしまい空振りパンチをかいくぐって出された羽生のストレートで倒されてしまった。確かに圧倒的に不利だったが、スリップダウンで起き上がらなかったような負け方はいかがなものか。

 行方の師匠は大山十五世名人だ。師匠の墓参りにでも行ったらどうか。負けたことにはさほど苦言はないだろうが、負け方にはお小言があると思う。励ませばまた肩に力が入りそうで難しいが、ファンをがっかりさせるような試合はいけません。

 

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