駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

セールスは相手を知らねば

2015年04月24日 | 医療

                 

 曜日によって差があるが平均して毎日三、四社のMRの訪問がある。今はまもなく長期投与が解禁になるSGLT2阻害剤の売り込みが激しい。私の医院は二週間処方の患者さんは1-2%と殆どいないので、今までどの薬も採用していないからだ。

 各社、殆ど差がない薬にあれやこれや差を際立たせて何とか買ってもらおうと売り込んでくる。全社、自社製品が一番のように言うので、まともに聞いていると頭が混乱してしまう。意外に大きいのが薬の名前で、やはり覚え易いのがいい。スーグラ、アプルウエイ、デベルザ、フォシーガ、ルセフイー、カナグルがその名前だ。まるで競走馬の名前のようで面白いのだが、名前の決定までには各社侃々諤々の議論をしたことだろう。

 憶え易いのに加え言い易いことも大切だ。まだ決めていないのだが、一ヶ月先に解禁になるスーグラを残り五社が声を揃えて悪く言うのが面白い。錠剤が大きい、皮疹の副作用が多い、国外販売を諦めた・・・。スーグラのMRは防戦一方である。

 糖尿病専門医に聞くと殆ど差がないあるいは同じですよと言う人が多い。勿論、中には専門家よろしく、細かい違いを挙げる人も居る。 

 セールスの心得はやはり相手を知ることだろう、私は泣き落としやしつこいくどいのは嫌いだ。男のくせにというのはセクハラだろうか、売り上げが10万落ちて・・と泣きたいのは分かるがどうも好かん。毎週入れ替わり立ち替わり複数で押しかけて、何とか病院で採用になりましたとうるさいのんも敵わん。まるで自社だけのように言うが他社でも採用されているところがある。

 結局、実際には薬としての性能に殆ど差がないわけだから、微妙なことで決めることになるんだろうなと思う、はてさて。

コメント
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