駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

行けば分かるだって

2015年04月25日 | 診療

          

 知り合いのケアマネさんに頼んだら、ここに来れば分かるようにしてあると聞いたと、初老のおっさん二人連れが診察室に突っ立っている。あんたねえ、医師の意見書を書いてもいいですとはお答えはしましたが、突っ立ていれば書類が出てくるわけではありませんよと思いながら少しずつ病歴を聞こうとするのだが、昔っからこうだったんです。母が死んでから兄が預かっているんだが、大変なんで介護を申請するから連れてけと言われたの一点張りで、なかなか状況が把握できない。

 どうも無表情でおどおどしているのは末の弟さんで、生来の精神薄弱?らしく、ずっと両親と暮らしていたのだが母親が半年ほど前に亡くなってからは、兄の所に身を寄せることになったらしい。面倒を見るのが大変のようで、介護申請をすることになり次弟に当院へ連れて行くように指示したらしい。

 名前だけは言える患者さんを一通り診察して、分かる範囲での病歴を聞いてお引き取りを願ったのだが、医師の意見書というのはアンパンやおにぎりと違い、これ呉れと簡単に手に入るものではない。そこには診察を含む一定の手続きがある。確かに不慣れな人には面倒な所はあるかも知れないが、来れば分かると言われて来たと不満げにされても、あきれるというか困ってしまう。

 ケアマネに悪気はないと思うが、安請け合いは戴けない。ちゃんと分かる人と受診するように説明しておいて欲しい。断らないことを原則に診療していると、ケアマネの頭に困ればあそことすり込まれるらしい。勿論、お引き受けしますが、丸投げは困ります。

 

コメント
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