暫く前になるが「大いなる沈黙へ」という映画を観た。これは戒律が厳しいカルトジオ会に属するフランスの男子修道院グランド・シャルトルーズの修道士の記録映画で、3時間近くナレーションも音楽もなく自然光の中で撮影された彼等の祈りと生活の映像が流されて行く。退屈と言えば退屈で、途中で二人ばかり退席する女性客が居た。
退席したのは戸惑い面白くないと感じたためだろう。私は退屈することもなく、未知の不思議な世界の存在に驚きながら見終えた。何処まで理解出来たか覚束ない。4%か5%か、それも怪しいが、こうした世界が存在することに圧倒された。神と一対一で対峙し帰依する人生と生活。殆どの日本人には理解出来ない世界だろうと感じた。私は宗教に造詣が深いわけでも信心深いわけでもないが、八百万の神に親しんだ人間には分かりにくいというか分からない心だと思う。
日本にだって厳しい修行があると言われるかも知れないが、私の浅い知識経験からは日本の神々は人間的で、言い過ぎかもしれないがどこかご都合的というか便宜的な所があるように感じてしまう。
絶対で理不尽で問答無用の唯一の存在に命を捧げる人生があるのを朧気ながらでも知り、目から鱗が取れた気がする。