駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

天気晴朗なれども

2019年02月07日 | 身辺記

        

 

 概ね平穏といっても時々は波風があるのが医院運営、峠を越えたと思ったら遂に看護師が一人インフルエンザに罹ってしまった。一人くらい休んでも回るように職員数に少し余裕を持たせてあるが、忙しい冬場なので心配した。ところが不思議なことにこの三、四日は患者が少ない。天の配剤は大袈裟だが、いつも参ったという時は何処からか救いの手が伸びてきたように記憶する。

 駅前で医院を開院してもう足掛け三十年になる。思い出せば最初の一年は大赤字、小うるさい税理士で色々説教を垂れるので、思い切ってトントンになった三年目に別の所に変えた。それが良かったという訳ではないだろうが以降は経営的にはほぼ順調にやってきた。唯、三度ばかり職員に問題児が出てきてごたごたした。綱渡りで凌いだのを思い出す。後はさざ波程度のごたごたで、ほぼ笑い声の絶えない職員環境でやって来れている。

 昔、医師会には500mルールなどというものがあって近くに同じ科の新規開業を認めなかった。今は独禁法に触れるとかで、100m先に同じ科が出来ても医師会で圧力を掛けることができないことになっている。現実にはいろいろ不協和音がおきるし、共倒れになりかねないのでそうしたことはまず起きないのだが、医師ではない業者斡旋というのがあり、ニアピンで時々ごたごたする。和解できず、医師会に入らないで開院したりしている。

 私の医院でもつい80メートル先の200坪ほどの空き地に内科が移転してくる話があった。地主が先生好いかねと尋ねてくれたので、ちょっと勘弁して欲しいお答えしたところ、先生には世話になっていると一蹴してくれた。有難かった。今では代わりにコンビニが出来、みんな便利している。医師会の副会長は地獄耳で誰が画策したか情報が入ったのだが、人間は見かけによらないと言うか油断ならないとびっくりした。女房だけは私はあの人はと思っていたのよと後付けでのたまわっていた。

 今、「大丈夫です、ありがとうございました」とインフルエンザ看護師が笑顔で出勤してきた。ほっとする。

コメント
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