総合病院では画像診断が浸透しており、慢性腎不全や慢性肝炎で紹介した患者さんに、大動脈瘤や肺がんが見付かったりする。表現は適切ではないかも知れないが、取り敢えずというか兎に角というか、気軽にCTやMRIを全身状態把握のために撮影するので、思いも寄らぬ予期せぬ病変が見付かるのだ。それに関しては無症状なので、患者や紹介医は偶然という気がするが、総合病院の医師はよくあることと半ば予期していた様子で、驚くことなく精査加療へと進んで行く。その多くは早期診断なので患者共々紹介医も感謝しなければならないのだろうが、実は患者にもいくらか、紹介医にもそれなりの困惑がある。
というのは私のようなCT出現前に医師免許を手にした医者や五十過ぎの患者には、輪切り画像で突然ご託宣の印象があり、戸惑うところがあるのだ。勿論、何の症状も無くても画像に歴然と写れば受け入れるよりはなく、手術を受けることになる。手術痕を拝見しながら良かったですねと患者と顔を見合わせることもある。
画像診断が進歩し世界一の数のCTMRI機器を擁する日本では数多く画像診断が行われている。費用対効果はと言ったところで命が助かるのに何を言うかという建前もあるし、医師は本能的に早期診断早期治療を目指すところがあるし、医療機器メーカーも売り込むしで、画像診断大国になっている。
揶揄するような書き方になったが、正直なところ色々症候学を勉強し数多くの貴重な経験していても、あっさり画像一発で追い抜かれると、多少詰まらないというか淋しい気分になる。