駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ケアマネの力

2016年12月21日 | 医療

           

 ケアマネという仕事がある。彼ら彼女らは要介護者の在宅生活全般を気遣い支援してくれる優れ者達だ。尤も、何によらずピンキリと相性があるから,あまり高評価を与えるとうちのんはそうでもないという声が出るかも知れない。例外はあるかも知れないが、医者でケアマネというのは駄目だろうと思う。取り敢えず資格だけは取ったという医師が殆どだし、こうした仕事に向いているように見える同業者は周りには居ない。

 ケアマネは言い得て妙で、二つの能力が要求される。ケアには優れているがマネージはもう一つ、ケアは駄目だがマネージに優れているというケアマネは多い。前者は女性、後者は男性に多い。勿論、どちらにも優れているケアマネも居られる。

 数十人のケアマネと付き合いながら、十分には彼等彼女らの仕事の全容を把握できていないが、要介護の人には無くてはならない存在なのは間違いなく、在宅医療を行う医師にとっても表現は適切ではないかも知れないが便利で欠かせない存在だ。要介護者は多様な支援支持を必要としており、全体を見渡してコントロールする人が居ないと効率的で適切な介護が受けられない、正にその全体を見渡してやりくりしてくれるのがケアマネなのだ。

 あまり知られていないかも知れないが孤死は珍しいものではなく、市内でも毎月何人もの人が人知れず亡くなり、検死を受けている。当院にも枕元に診察券があったと、年に一度は警察から問い合わせの電話がある。大抵は一年ほど前が最後の通院歴の患者さんだ。ケアマネが居ると孤死が避けられることが多いのではと思う。

 K婆さん91歳、子供に死なれ天涯孤独(近所に縁戚が居ない)で生活保護を受けている。介護度は2で何とか一人暮らしをしている。先日インフルエンザで39Cの発熱で 唸っている所をケアマネに発見され担ぎ込まれた。幸い受けてくれる病院があり入院できた。多分一命を取り留めると思うが、退院しても一人暮らしは無理そうでケアマネが中心となって、何処かの施設に送り込まれることになるだろう。日本死ねなどという書き込みがあったが、日本凄いと思う。

コメント (2)
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