駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

戸惑うインフルエンザ

2015年01月20日 | 医療

           

 インフルエンザが猛威を振るっている。毎日十数人のインフルエンザ患者がやってくる。随伴する風邪患者や体調不良者を含めると普段より三十人ばかり多い患者数になる。これは所謂一つの限界で、こうした患者数が長く続くと診療する側が参ってしまう。数年毎のインフルエンザ大流行は大体二週間で峠を越すのであと数日の辛抱と思っている。

 ワクチン接種も激減し、インフルエンザワクチン製造会社も開店休業状態だった平成の初めと比べれば随分の様変わりで、この頃は猫も杓子もインフルエンザでしょうかと聞くようになった。

 人口に膾炙すると独特の呼び方が出現する。「インフルでしょうか?」が一番多い、時々「インフでしょうか?」と怪しげな婦人のことかいなと戸惑わせる聞き方をされる人もいる。医療関係者には「フル」と言われる人も多い。ルエンザとかエンザと言われる方は居ない。フルエなどは悪寒で震えることも多いので悪くない呼び方にも思うが使われる人はない。京都辺りでは何で休んでいたと聞かれ「インフルえ」と答えられているかも知れない。 

 英語には頭文字をつなげてNATO(ナトー)とかGATT(ガット)などと短く呼ぶ方法がある。明治時代には漢字を上手く当てはめた和製漢字語が多く作られた。インフルエンザはたかだか七文字なので、わざわざ短くするほどのこともないと思うが、短く呼ぶのを好む人達が居る。東京特許許可局ほど舌を噛むわけではないので、私はフルネームで呼んでいる。

 ギョエテとは俺のことかとゲーテ言いではないが、インフルエンザも「インフ」と呼ばれてぎょっとしたり、「フル」といかにも呼び捨て感じの呼ばれ方でむっとしたりしているかもしれない。

コメント (2)
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