「クライマー パタゴニアの彼方へ」という映画を見た。パタゴニアにセロ・トーレという3012mの、難攻不落の岩山がある。頂上までの数百メートルは殆ど垂直の岩壁で、しかもパタゴニア独特の風速60m以上の強風がいつ何時吹き始めるか分からない場所にそそり立っている。
その岸壁を天才ロッククライマーデビット・ラマがアルピニストとなり、素手で登ろうとするのを記録した映画だ。見ているだけで足が震えそうな絶壁を岩の割れ目や出っ張りに指を掛けて登ってゆくのをヘリコプターから迫真の映像で伝える。一体どういう神経と体力の持ち主なのだろう。頂上は平らと言っても四畳半ほどの広さで、周りは千仞の谷だ。並の人間には腰が抜けて立つことはできないだろう。其処に立って万歳するなんて、本当に命知らずの男達だ。
なぜそんな危険な冒険をするのだろうか。「其処にエベレストがあるからだ」と答えたマロリーも、遭難して亡くなった。
たかだか数十メートルの鉄塔に登ることさえ、誰にも出来ることではない。私は5mでさえ怖い。異能者が社会に欠かせない人達なのは、人類の歴史を振り返ればわかる。様々な個性を受け入れ包含して人類が生き延びてきたのは確かのようだ。
写真はネットから拝借