確か「人は見た目が九割」という本があった。読んではいないが、多分似たような理屈なのだろうと思う。
人間は他人を判断するのにさほど時間を掛けない。友達と呼べるのは数人から数十人で、よく歩いているのを見かけるとか、時々言葉を交わす程度の人もせいぜい数百人が普通だろう。大部分の人とは街ですれ違ったり、店で二言三言言葉を交わす程度だと思う。現代ではこの他にテレビラジオを通じて知っている一群の人達が居る。
遠い昔、我々の祖先は瞬時ないし短時間でどんな人かを判断しなければならなかったのだろう。それが遺伝子に残り、他者を見た目と聞いた耳で判断する仕組みが脳に組み込まれているようだ。というのは人をどんな人か判断する時、慎重に時間を掛けてと思っても否応なく心の中で瞬時に判定が出来上がってしまうからだ。勿論、思い違いというか瞬時の判断が間違っていることも時にはあるので、訂正修正の余地を残して置くのが一般的と思う。
なぜ聞いた耳が八割と思ったかというと、選挙の応援演説や政治討論会を聞いていて、話が上手く聞こえる人が支持を集めたからだ。安倍さんと橋下さんは淀みなくしゃべる才能があり、声の通りもいい。渡辺さんも訥弁から長足の進歩を見せた。志位さんは当然ながら(共産党でもぞもぞ話す党首は記憶にない)立て板に水で声も悪くない。海江田さんはまあまあのしゃべりだが、声の通りが悪く鈍重に聞こえる。遂に消された小沢さんは口下手で言いたいことに口が追い付いていない。
どうも話の内容は二割程度で、話し方話す速度言葉づかいそして声の通りで八割方の判断がされているように思えた。
とはいっても優れた弁舌も滑って本音を出して失敗することはある。橋下さんは、調子に乗って?本音を口にし過ぎた。マスコミにもてはやされても好かれてはいないようで、大々的に取り上げられてしまった。
そう云えば、どちらかと言えば患者さんの多い医院の院長は話が上手い傾向があるように思う。但し、例外は結構ある。