駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

あともう少しで夏を越せたが

2013年08月24日 | 診療

                   

 大物などという言い方は不謹慎に響くかもしれないが、五年以上往診してきた超高齢のお二人が数日前続けて亡くなられた。共に九十台半ばの女性で、お一人は全く寝たきりで会話はできなかったが、もうお一人は座位が取れ少し話も出来ていた。

 前々日まで普段と変わらず、前日足の浮腫みが少し憎悪したり、前日痰の絡みがあったりして、ちょっといつもと違う感じがあった。時々あることなのでさほど深刻には捉えず少し様子を診ましょう、去痰剤を出しておきましょうといった対応をしたのだが、翌日あっという間に眠るように亡くなってしまった。確かなことは分からないがやはり猛暑がいくらか関係したように思う。

 去年一昨年と、夏が越せるかなとご家族と話をしていた。今年も何とか夏を越せるかなと思った矢先だったので、残念な気もしたが、むしろご家族やヘルパーさんがよくこれまで面倒をみられたと思いなした。長年の経験からすると高齢となられるほど、あっさり静かに逝かれる。

 死は避けられず、いつかは死ぬのだと、いつも目の当たりにしている者の正直な感想は苦しまない(苦しそうに見えない)ことは、大切というか僥倖と感じる。残されたご家族や介護に加わったヘルパー看護師医師が心穏やかに終わりを受け入れられる。まだ死んだことはないので分からないが、おそらくはご本人もと思う。

コメント (2)
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