禁煙は禁酒よりも少し難しい感じがする。とは言っても私はアル中の人は診ていないので、社会人として普通にあるいは何とか生活できている人達を対象としての話だ。
禁煙と同じように難しいのは超肥満者の減量だ。BMIが32を超えている人を痩せさせるのはとても難しい。
超肥満者が痩せられないわけではない。家庭に不幸があったり、厳格な食事指導をすれば体重は減る。しかし半年一年後には元の木阿弥になってしまう人が殆どだ。
そうこうして体重が減らないまま三、四年過ぎると、正直私もくたびれて半ば匙を投げてしまい、減量指導も形骸化することが多い。認知行動療法的なアプローチがある程度有効とは聞いているが、言うは易し行うは難しで、そうした手法は十分活用出来ていない。
残念なことだが、超肥満者の患者さんにはいつの間にか通院されなくなる方も多い。医者を変えたか医者通いを止めたか、いずれにしてもお元気なら良いのだが、時々どうしちゃったのかなと気になる。来る者は拒まず去る者は追わずを基本方針にしているので、いつの間にか足が遠のいた患者さんの消息はわからない。勿論、のっしのっしと歩いておられるのを街で見かけることはある。
今の時代、生きるために食べるなどというのは嘘くさく響く、食べるために生きている人達が多い、特に超肥満者は殆どそうだと確信している。そうさなあと思うがそれでよいとまでは思わない。