六時以降の延長保育不能ということで突発した事務員の退職危機は他の独身事務員の協力で、十五分早く仕事を終えさせることで、私の医院では何とか取り敢えずの解決を見た。
とてもベストの解決策ではないが、事業主としては退職を防げたのでほっとしている。まあ、恐らくどこの零細企業でもしわ寄せを受け入れてくれる人が居て成り立って居るのだろう。学区が違う看護師は私の所は男の人だったから二十分くらいいいよと延長で預かってくれたんですよと、微妙なことを言う。
私は事業主として市役所に強く延長を申し入れた。担当者の返事では六時以降もという苦情や要望は各所から届いておりますが、予算の関係で申し訳ありませんというまるでお役所のような返事であった。
まあ、実際には退職もと言い出した職員には甘えというか母の愛というか我が儘もあるような気もする(どうしても自分で迎えに行きたい)のだが、役所の杓子定規と不備を緩和する機能が日本の社会にまだある程度残っていて、各所での暴発が防げているのだろう。それは良いことだがそれで良いとは思われない。