駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

夢見る厳しい土地

2012年05月15日 | 

    

 アイルランドは誰もが名前を知っている国だが、その国土はユーラシア大陸の西の果てに浮かぶ北海道ほどの小ぶりの島で人口も横浜市と同程度のたかだか三百五十万人である。

 にもかかわらず、世界にアイリッシュを自認する人は七千万人。特に米国では九人に一人はアイリッシュの血が流れていると言われるほど多い。皮肉にも痩せた土地から逃れた人達は肥沃だったのだ。

 思うに緑の島アイルランドは殆どのアイルランド系の人達にとって訪れることは叶わなくても魂の故郷なのだろう。何の不思議はない、アイルランドはアイルランド精神に宿っているからだ。

 アイルランドは西に行くほど土地が痩せ石が多くなる。ゴールウエイ湾の南には写真のような足もすくむ絶壁が大西洋の荒波を受け聳え立っている。緑に覆われ美しいけれども厳しい土地なのだ。ジャガイモしか出来ないような、西風の吹き荒れる土地に住み続けるには夢見る能力が欠かせなかったのかもしれない。幽明朧な妖精と暮らす精神があったからこの地で生きられたとも思える。

 たかだか六日間で、アイリッシュに感染して妄想を逞しくしたが、アイリッシュ精神に触れたと秘かに確信している。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする